苦戦というよりも事実上の自民党の敗北

7月4日に投開票された東京都議会議員選挙(定数127)で、自民党は33議席で第1党を奪還したものの、過去2番目に少ない獲得議席数となり、自民党と公明党を合わせて過半数(64議席)を獲得するという目標には届かなかった。自民党に協力した公明党は、候補者全員(23人)を当選させた。それゆえ自民党の責任は重い。

東京都議選から一夜明け、記者団の質問に答える菅義偉首相
写真=時事通信フォト
東京都議選から一夜明け、記者団の質問に答える菅義偉首相=2021年7月5日、首相官邸

一方、地域政党の都民ファーストの会は獲得議席の大幅な減少が予想されたにもかかわらず、踏ん張って31議席を取って第2党の座に就いた。候補者の調整を行った立憲民主党と共産党はともに議席を積み増し、それぞれ15議席と19議席を獲得した。

こうして見ると、苦戦というよりも事実上の自民党の敗北である。都議選から一夜明けた5日午前、菅義偉首相は厳しい表情を見せて「過半数を実現できなかったことは、謙虚に受け止めたい」と記者団に語った。

内閣発足以来、菅首相は注目の与野党対決で負けばかり

都議選は国政選挙の先行指標と注目され、今回の都議選も秋の衆院選の前哨戦として与野党とも国政選挙並みの態勢で臨んだ。しかし、結果を残せなかったため、衆院選への不安が広がっている。

たとえば、2009年の都議選では自民党が48議席から10議席減らし、公明党と合わせても過半数を獲得できなかった。代って第1党として名乗りを上げたのが、34議席から54議席に増やした民主党(当時)だった。この後の衆院選では、民主党(同)が300を超える議席を獲得して大勝し、政権交代を果たした。自民党は野党に転落した。

2013年には前年に政権を奪還した自民党が、都議選で候補者全員を当選させて圧勝し、39議席から59議席を獲得した。これに対し、民主党(同)は43議席から15議席と半分以下に議席を減らした。そして直後の参院選では、自民党が大勝し、「安倍長期政権」の流れを作り上げた。

政界には「選挙で敗北が続くとその恐怖感が伝染する」というジンクスがある。菅政権は今年、山形県知事選(1月24日)、千葉県知事選(3月21日)、静岡知事選(6月20日)といずれも敗北し、4月25日に北海道(不戦敗)と長野県、広島県で行われた衆参3選挙でも全敗している。

菅首相は自身の内閣発足以来、注目された与野党対決の選挙で負けてばかりなのである。