財務省は改竄問題の再調査に乗り出す責任がある
学校法人・森友学園への国有地売却をめぐる財務省の決裁文書の改竄問題で、財務省がやっと「赤木ファイル」の開示に応じた。財務省に決裁文書の改竄を強いられ、それが原因でうつ病を発症して2018年3月に自殺した近畿財務局職員、赤木俊夫さん(当時54)が改竄の経緯を記録した文書である。
財務省が赤木ファイルを開示したのは6月22日。この日の閣議後記者会見で財務相の麻生太郎氏はこう話していた。
「すでに財務省はできる限り調査した結果を示している。改竄問題の再調査はしない」
「(ファイルの一部が黒塗りになっているのは)個人のプライバシーの関係や情報セキュリティーを守るためで、黒塗りの理由は裁判所に提出している」
しかし、公文書の改竄という罪を犯したのは財務省である。確かに財務省は改竄の事実を認めて問題を調査し、2018年6月に調査報告書を公表しているが、首相官邸の関与など肝心なことには一切触れていない。赤木ファイルに至ってはその存在さえ明らかにしようとしなかった。
「修正は行うべきではないと強く抗議も行った」
財務省の決裁文書の改竄問題は不明な点が多く、解明が終わっていない。なぜ財務省は改竄に及んだのか。きちんと再調査して私たち国民の前に明らかにするのが財務省の義務である。それに一部が黒塗りされていたのでは、財務省理財局内でだれがだれにどのように改竄を指示したのかの指示系統も分からない。黒塗りのない赤木ファイルを開示すべきである。
赤木ファイルは、昨年3月に国などを相手に損害賠償請求訴訟を大阪地裁に起こした赤木さんの妻、雅子さん(50)が何度も開示を求めていたものだった。雅子さんは「改竄を記録したファイルがある」と赤木さんから聞いていた。ファイルは赤木さんの魂の叫びだった。
財務省は大阪地裁に提出を促され、今年5月になってようやく開示に同意した。雅子さんの思いが裁判所を通じて財務省を動かしたのである。
赤木ファイルは500ページ以上に及び、赤木さんが備忘録として改竄の経緯をまとめた部分には次のような記載がある。
「意思表示し、修正に抵抗した」
「修正することは問題があり、行うべきではないと強く抗議も行った」
「修正」とは改竄のことであり、決裁文書の改竄は2017年2月から4月に行われ、約300カ所が削除されたり、書き換えられたりしていた。