遺族は民事訴訟で真相の究明を続けている

朝日社説は佐川氏にこう求める。

「佐川氏は何に配慮し、改竄へと向かったのか。18年3月の国会での証人喚問では、刑事訴追の恐れがあることを理由に大半の証言を拒んだ。しかし、捜査が終結し、不起訴となった今、経緯をつまびらかにすることに何ら支障はないはずだ」

もう一度、佐川氏の証人喚問を行うべきだ。国会は佐川氏が正直に真相を語れる場を設けるべきである。

朝日社説も「そして国会である。国民の代表からなる国権の最高機関が、虚偽答弁や改竄文書でだまされていたという由々しき事態である。行政監視の使命を果たすためには、閉会中審査に佐川氏らを招致し、徹底して事実関係をただす必要がある」と訴える。

最後に朝日社説は主張する。

「ファイルの開示について、雅子さん側は『第一歩がようやく進む』と語った。真相解明はまだこれからであり、その歩みを止めるわけにはいかない」

まだ真相解明への扉が開いたにすぎない。民事訴訟の場で国と佐川氏を相手取って真相の究明を続ける雅子さんにとってこれからが正念場である。がんばれ雅子さん、と沙鴎一歩はエールを送りたい。

「妻の心情を思うとやりきれない」と産経社説

6月23日の産経新聞の社説(主張)は冒頭部分でこう訴える。

「『最後の夫の声。つらい思いをしながら残してくれた夫に感謝したい』と語った妻の心情を思うとやりきれない」

もちろん、最後の夫の声とは赤木ファイルを指す。産経社説は「やりきれない」としているが、沙鴎一歩も妻の雅子さんのことを考えると、目頭が熱くなる。

産経社説は「国側は当初、ファイルの存否さえ『答える必要はない』とはねつけ、その後は『探索中』として存在確認に1年以上を要してきた。大阪地裁が存否の回答を求め、ようやく存在を認めた。あまりに不自然であり、意図的な隠蔽を疑われても仕方がなかった」と指摘する。

まさに隠蔽工作だ。財務省は隠蔽体質をあらため、再び調査を開始し、きちんとその結果を公表すべきである。