いまの菅政権には「ぬくもり」がまったく感じられない

産経社説は「妻側に開示されたファイルには財務省理財局と近畿財務局との間で送受信されたメールや添付文書もあったが、差出人や宛先がマスキングされたものもあった」と指摘したうえで、こう主張する。

「差出人や宛先は当時の指示系統を明らかにする上で欠かせない情報である。黒塗りの下にある情報が『直接関係のない第三者』であるかどうか、妻側や裁判所には判断がつかない。マスキングの範囲を被告側が選択できること自体に妥当性を認めがたく、裁判所は非公開の席での全面開示などの方策を探ってほしい」

赤木ファイルの開示は今回、大阪地裁が財務省側に求めた結果、実現した。さらに大阪地裁はマスキングのない赤木ファイルの開示を強く求めてほしい、と思う。

産経社説は最後にこう訴える。

「麻生太郎財務相は『訴訟の場で審理が行われるのでコメントは控える』と述べ、加藤勝信官房長官は『訴訟への対応は関係省庁で真摯かつ適切に対応される』と語った。言葉にはまるで体温が感じられない。もっと人に温かい政治であってほしい」

産経社説の指摘の通りである。いまの菅政権にはぬくもりがまったく感じられない。それは、感染症対策の専門家らの意見を正面から受け止めず、冷めたオリンピックムードも無視し、開催ありきで突き進む菅首相のかたくなさを見ていても強く感じられる。国民のためのまつりごとが政治なのである。菅首相はそのことを理解しなければ、念願である首相続投も危うくなるだろう。

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