強いユーロを背景に成長を続ける欧州において、日本企業が業績を上げるにはどうすればよいのだろう。経営陣に現地の人材を迎え入れ、さらにそのチームをうまく機能させる3つのステップを紹介する。
典型的な大手日本企業の「グローバル経営」を考えてみよう。日本本社から見る世界の区分けはアジア・米州・欧州の3つが主流である。
アジアには積極的に投資を行い、米国は既存ビジネスの維持拡大に注力する戦略が多い。「成長」のアジアと「成熟」の米国。果たして欧州はそのどちらであるのか。答えはそのどちらでもなく「成長と成熟の融合」であろう。ここに日本企業から見て欧州事業経営の舵取りの難しさがある。
複合多岐な欧州をまとめているのは欧州連合、いわゆるEUである。このEU27カ国において、日本企業が成功を収めるにはもはや「日本型経営」では通用しない。その一方、「米国型経営」で業績を上げているケースも多くはない。
私は、欧州に進出している多くの企業を見てきた経験から、欧州において日本企業が成功できるか否かは経営陣である「トップチーム」の形成がうまくできているか、そしてそれがうまく機能しているかにかかっていると実感している。
経営の現地化に出遅れる日本企業
2007年春、欧州委員会はEU27カ国の2007年GDP予測を2.9%(修正前は2.4%)に引き上げた。 米国が同2.3%、日本が同2.2%に留まっていることに比べると高水準となっている。
グローバルに見て、何が日米との違いになっているのであろうか。EUの成長をユーロ圏と非ユーロ圏で分けて見ると、非ユーロ圏の成長がEU成長の牽引役となっている。ポーランド・ルーマニア・ブルガリアの各国のGDPはすべて6%以上。拡大成長を遂げ、企業を支えるミドルクラスも豊富におり、日本企業にとって「拡大EU」をいかに取り込むかがグローバルな成功には不可欠である。