運営側もコアなファン頼みではいられない
このようなユーザーの無関心化が進んでいけば、フリーミアムモデルが課金の対象とする熱心なファンも減っていき、無関心なユーザーが増えていくことになる。すると、これまでネット上で主流だったフリーミアム型ビジネスモデルも成立が困難になり、消費者の状況に合わせて変更を迫られることになる。
実はネットサービスを運営する側も、コアなファン頼みのフリーミアムモデルが限界に近づいていることに気づいているのではないか。なんとかしてボリュームゾーンである「無関心なユーザー層」に課金し、「無関心であるのにも関わらずお金を払う」メソッドを確立させないかぎり、サービスが立ち行かない段階に来ているのではないか。
そうした状況がWebコミックをはじめとする「新作無料」という、どうやって成り立っているのか理解が難しいモデルに現れているのだ――。このように考えると、アクセンチュアのレポートとも辻褄が合ってくる。
無関心なユーザーはどこに反応している?
「新作無料」というモデルにおいて、運営サイドは「コアなファン層」という存在を、課金の対象ではなく、SNS上で「これ、おもしろいよ」と広めてくれるインフルエンサーとして捉えているはずだ。
無関心なユーザーは一般に、「これ、おもしろいよ」という広告をみても、購入意欲を喚起されない。なぜなら、広告には飽き飽きしており、また自らモノを選ぶ意志も減退しているからだ。そうした無欲な人たちに「お、読んでみよう」と意欲喚起させるためには、何をすればいいのか。
例えばそのユーザーがフォローするSNS圏内の誰かが、「この作品はこういう意味でおもしろい」とか「この作品はこういう部分が斬新だから読むに値する」といった解釈・評価を行い、「こういうふうに読むべき」という「コンテキスト(文脈)」とともにそのコンテンツを提示してあげれば、それによって無関心なユーザーの興味も惹けるのではないか。
実際、テレビ番組等でも、音楽を作曲レベルで解説することで、曲にコンテキストを与えるものが人気を博している。