2020年度の住宅着工件数は約81万戸(8.1%減)で、2年連続で減った。そんな中、注文件数を前年比で約2倍に伸ばした住宅メーカーがある。どうやって実現させたのか。船井総合研究所のウェブメディア「社長online」から、ウッズカンパニー(鳥取県倉吉市)の事例を紹介する——。

コロナ禍でも「前年比191.1%」の離れ業

ウッズカンパニーの谷本弘樹社長
ウッズカンパニーの谷本弘樹社長(提供=「社長online」)

ウッズカンパニーは、鳥取県倉吉市に本社を置く住宅会社です。1994年の創業ながら、鳥取県では2015年から4年連続で棟数No.1ビルダーであり、鳥取県内のシェア率は7.2%。お客様の予算帯別に複数のブランドを提案する、鳥取県の地域一番企業です。

同社のそうした勢いは、新型コロナ禍においても変わらず、新築注文完工棟数は前年の68棟から130棟にアップ。前年比191.1%を達成するという離れ業をやってのけました。

その歴史の中では、新規エリア出店に伴う戦略転換や、右腕であった副社長が社員の半分を引き連れて独立、社員数が半減してしまったという大きなターニングポイントもありました。こうした会社の転換点に、どのように対処し乗り越えていったのか。ポイントをお伝えします。

地域一番店を実現したポイント
・総合展示場戦略の推進
・右腕の副社長の独立と人材戦略の転換

<企業データ>
代表取締役社長 谷本弘樹氏
本社所在地 鳥取県倉吉市
売上:17.3億円(2019年度)
社員数:78名(2020年6月)

飛躍のターニングポイント①:総合展示場戦略の推進

第一のターニングポイントは2015年。同年に同業他社のハートホームとの合併を実施したことを受け、本社から50km離れた鳥取市にも店舗を持つことになりました。

船井総合研究所の社長online
船井総合研究所の『社長online』(画像をクリックすると、同サイトにジャンプします)

倉吉市から鳥取市は距離が遠いこともあり、その当時鳥取市内での同社の知名度は芳しいものではありませんでした。集客のために実施したチラシなども思ったほどの反響・集客が実現せず、当初は年間15棟受注と苦戦が続く状態だったのです。

そうした現状を打破するために取り組んだ一手が、総合展示場戦略です。総合展示場戦略とは、複数のブランドを自社のみの総合展示場で展開する施策を指します。