これは、鳥取県内に総合展示場がないという地域特性や、ウッズカンパニーが複数のブランドを有していたこと、採用上の優位性などを加味して推進されました。
そして、この施策は、集客力・企業価値双方に大きなインパクトを生み出します。同社の総合展示場である鳥取ハウジングプラザは、2019年4月からの1年間で集客件数582組、契約棟数47棟、契約率8%。売上額11.6億円、粗利3.4億円、営業利益1.8億円と破格の実績となりました。
そして契約棟数47棟のうち21棟の受注を新卒だけで生み出したのも特筆すべき点でしょう。
自社総合展示場のヒットを根幹で支える商品戦略
こうした総合展示場戦略がヒットした背景に、販促集客施策が的確だったことがあります。エリア最大級の展示場を用意し、集客媒体はポスティングチラシを使用、完成見学会・イベント集客を実施することに注力しました。
結果、鳥取で家づくりを考え始めたお客様に「あそこの展示場が大きいからとりあえず行ってみようかな」と一番初めの来場を取り切ることができたのです。
けれども、そうした販促集客面以外にも、緻密な商品戦略が存在することも見逃せません。ポイントは、家づくりを考え始めたお客様の中でも、顧客ターゲットを「土地なし×価格重視×性能重視」の客層に絞ったこと。
このターゲットがウッズカンパニーが最も得意とする客層なわけですが、この客層から逆算して商品が開発され、販売・営業施策も練り上げられているのです。
具体的には、ウッズカンパニーは、価格帯別に、2000万円~の桧家住宅、1700万円~のハートホーム(ココママの家)とサクリエ、~1500万円のウッズハウスと複数のブランドを展開しています。
鳥取ハウジングプラザにおいては、全てのブランドを展示はしているのですが、販売する商品は最も得意なハートホーム(ココママの家)を基本としているのです。
エリアトップクラスの集客装置を有し、その中で最も得意とする価格帯の商品の良さを展示場で体感し、伝え切る。そうしたお客様の欲しいものを売る仕組みをエリアで最も磨き上げている以上、エリアダントツ一番を達成できたのは必然と言えるかもしれません。
飛躍のターニングポイント②:右腕の副社長の独立と人材戦略の転換
第二のターニングポイントは2018年。
右腕であった副社長が社員の半分を引き連れて独立し、48人だった社員が25人まで減ってしまったという人事面での危機が挙げられます。
住宅業界においては、構造的に短期の売上や数字を追いかけがちであり、部門によってはどれだけ働いても給与が増えないといった不満が上がることも少なくありません。