新型コロナウイルスの感染者が「後遺症」に悩まされている。沖縄タイムスが実施したアンケートでは、感染者104人のうち約半数の49人が「後遺症がある」と答え、倦怠感や味、匂いが感じられないといった具体的な症状を打ち明けた。沖縄タイムスの下地由実子記者がリポートする――。
沖縄県独自の緊急事態宣言により営業時間短縮を知らせる居酒屋=2月28日、那覇市。
筆者撮影
沖縄県独自の緊急事態宣言により営業時間短縮を知らせる居酒屋=2月28日、那覇市。

「後遺症がある」と答えた人は20代から70代と幅広い

沖縄タイムスが新型コロナウイルス感染症を経験した人を対象に行ったアンケートでは、回答した104人のうち約半数の49人が「後遺症がある」と答えた。

その内容は、複数回答で、最多の倦怠感(27人)に始まり、息切れ(24人)、味覚・嗅覚の異常(14人)と続く。さらには、脱毛、微熱の継続、視力の低下、胸や足の痛み……。挙げられた体調の異変は、少なくとも20と多岐にわたった。

新型コロナウイルスにかかると、お年寄りは重症化しやすく、子どもや若い世代は重症化しにくいという年代によって異なる傾向がある。ところが、「後遺症がある」と答えた人は20代から70代と幅広い。年代に関係なく症状が現れ、日常のさまざまな場面に影を落としている様子が浮かんできた。

特に深刻なのは、前編で書いてきた「差別・偏見の経験」と同じように、後遺症によって仕事に支障が出ていることだった。

倦怠感、毛が抜ける、匂いや味を感じられない…

今年1月に感染した50代男性は「倦怠感や集中のしづらさ」を感じ、「午後から仕事にならない」と訴えた。息切れをするようになったという40代男性も、「疲れやすくなり、仕事に影響がある」と回答している。

倦怠感や頭痛など7種類の症状があるという30代女性は「仕事で依頼されたことを忘れてしまうことがある」と悩む。20代女性は、仕事中にめまいに襲われ、「業務に支障が出た」と打ち明けた。

50代女性は、今年1月に感染を経験して復帰してからも、「テレワークに集中できない」という。持続力が落ち、倦怠感や嗅覚味覚の異常、物忘れなども感じている一方で、「現在の状況を(周りに)伝えにくい」もどかしさにさいなまれる。

そして、「後遺症」は、食事や運動といった日常の楽しみも奪った。

療養を終えてから半年以上たっている30代女性は、味覚・嗅覚の異常、脱毛、息切れがあり、「ダンスなど運動を長い時間続けられない。食事の味が分からない。食欲が減少した」と生活の質の低下に見舞われる。カレーライスの匂いや味をあまり感じなくなったという50代男性も「食事が楽しくなくなった。どれを食べても一緒という感覚」と嘆く。