2021年9月に始まる女子サッカーのプロリーグ「WEリーグ」開幕に向けて復帰を目指しているのが、昨年2020年3月に出産した元なでしこジャパンの岩清水梓選手だ。初の「ママプロWEリーガー」となる34歳の岩清水選手は、どのように子育てとプレーを両立しようとしているのか、スポーツライターの元川悦子さんがリポートする――。
コロナ禍の中で本格復帰に向けて始動
新型コロナウイルスという未知なる脅威に世界中が襲われた2020年春。2011年サッカー女子ワールドカップ優勝メンバー・岩清水梓選手は待望の長男を出産した。「サッカーのことを考える余裕は全くなかった」という4~5月の緊急事態宣言下を慌ただしく過ごし、世の中が徐々に動き始めた頃、彼女は本格復帰に向けて動き出した。
「出産から2カ月が過ぎ、5月の後半くらいからトレーニングを再開しました。といっても最初はJISS(日本スポーツ科学センター)のトレーナーからもらった柔軟体操やストレッチのメニューをこなす程度。6月になって、やっと日テレ・東京ヴェルディベレーザのクラブハウスに行けるようになり、『もっと本格的にやれるな』と考え始めた頃、腹筋に力が入れづらく、思ったように体を動かせないことに気づいたんです」
産後から、起き上がるだけで痛みが出て、「一体、どうしたんだろう」と不安になっていた。「恥骨骨折じゃないか」という疑念も湧いて、復帰が難しくなるのではないかという懸念も抱いた。
「それでも時間が経つごとに少しずつ改善していきました。7月に入ってからは、筋トレも徐々にできるようになったのでホッとしましたが、一時はどうなるかと思いましたね」