夫婦、実母、保育園で子育て
そのためにも、育児とサッカーの両立体制をより強固にしなければならない。夫に加え、すでに神奈川県相模原市に住む実母から週1回程度のサポートは受けているが、日テレのユニフォームスポンサーである「育児支援の都市型保育園ポポラー」からも支援を受けられるようになった。息子を保育園に預けながらプレーする体制が整ったのはやはり大きい。
「私の方から打診したところ、快く引き受けていただいて、今は火~金曜日まで預ける形を取っています。土曜日も自分で見られる時は見ていますが、難しい時はお願いしています。練習前に預けに行って、練習後にお迎えに行っていますが、東京都稲城市にあるグランドからもそう遠くないので大変助かっています」
「息子は3月に1歳の誕生日を迎えて、ヨチヨチ歩きを始めたところですが、今は『ママ、行かないで~』とぐずったりもしないので、こちらも後ろ髪引かれることなく練習に行けています。もう少し大きくなると人見知りが出てきて泣いたり、体調不良で預けられない日も出てくるかもしれませんが、今のところは母親とサッカー選手をキッチリと分けながらやれています」
岩清水選手が練習している時間帯に子供に何かあれば、夫が迅速に対応できる環境であることもプラス材料と言っていい。
夫は彼女が「外へ出て買い物に行きたい」「美容院に行きたい」と言えば、快く了承してくれる。この1年間で夫婦の協力関係がしっかりと構築できたことも、岩清水さんにとっては間違いなく追い風だ。
「周りの協力のおかげでペースがつかめてきたのは、本当に有難いですね。だからこそ、早く自分のプレーを取り戻したいと強く思います。私には『子供と一緒に入場して公式戦に出る』という大きな夢がある。それをWEリーグ発足時点で達成できれば理想的です。旦那さんも『そうなるといいね』と応援してくれているので、ママさん選手として活躍できるように最大限、頑張りたいです」
また「なでしこジャパン」でプレーを
いずれは先輩である宮本ともみさん(U-19日本女子代表コーチ)のように、出産後になでしこジャパン復帰ができれば理想的だ。今夏に予定される東京五輪での復帰は少しハードルが高いかもしれないが、高倉麻子監督もベテランの力が必要だと考える時が来るかもしれない。読みの鋭さと、敵の芽を摘む素早い反応、頭抜けた統率力と国際経験値を兼ね備えた岩清水選手ならば、全くないとは言い切れないのだ。
「また代表でプレーしたいという気持ちはありますけど、もう34歳ですし、なかなかハードルが高いですよね(苦笑)。今のクラブで若い子とやっていても、速いし、うまいし、走れるなと痛感させられますからね。毎日レベルが高いと感じる日々なので、自分にとってはいい刺激になっています」
「ただ、アメリカなど海外の代表を見ていると、出産して世界舞台に戻るケースは珍しいことではありません。私も『新しい自分』になって、またそういう場所で戦えるようになれたら嬉しい。高い目標を見据えて取り組んでいきます」