再婚して妊娠したが、会社の借金が発覚

――お子さんができたのは、次の結婚ですか?

そう。離婚して1年ぐらいしてから、居酒屋でよく顔を見かけてたBと再婚した。二つ年下のとび職。うち、子ども産むのあきらめてたんやけど、Bと同棲し始めて2~3カ月で妊娠したんやわ。

Bの父親がとび専門の会社の社長で社員寮とか持ってて、経済的に問題なさそうやった。ところがその会社、借金だらけやってん。額にすると300万円ぐらい。そんなこと妊娠してからわかってもなあ。遅すぎやで。

借金の理由? 仕事を安く請け負って、その分が回収できんかったのか、Bがパチンコやスロットにハマりすぎたのか、理由ははっきりわからん。そやけど結局は借金への心配よりも、妊娠したことのほうがうれしかったしな、なんとかなるやろうって思って腹をくくって、結婚してん。と同時にローンで3階建ての家うて、その後に息子を産んだんやわ。

――出産後の暮らしはどうでしたか?

息子を保育園へ送り迎えしながら、生命保険の外交員として働いてた。夕方、仕事を終えると買い物をして、夕食の支度をして。そんなんで毎日ヘトヘトや。それでもBがねぎらってくれたらやる気が出るんやけど、実際は逆やった。

たとえば、うちが仕事で帰宅が遅れて夕食の準備ができなかったとするやん。そんなんでBが帰ってきたときなんか、気持ちが顔に出るねん。途端にムスッとして、「なんでご飯できてへんのや!」って威圧感のある声で、毎回言われたで。

息子の夜泣きに「黙らせろ」と吐き捨てた

――Bさんは、家事や子育てには協力的ではなかった?

全然。おむつ替えとかミルク、お風呂に寝かし付けとか、子育てはほとんどうちがやってた。関わらへんというBの方針は徹底してて。うちが40度の熱出したときも完全にノータッチ。「明日の午前中、病院行く間だけでも、この子見てて」って必死に言うたんやけど「仕事あるから無理」って。木で鼻をくくったような感じで片付けられた。そういうの、ほかにもあって、夜泣きしたときなんか、「やかましいんじゃボケ。明日朝から仕事やねんから黙らせろ」って吐き捨てて、布団にもぐり込むんやで。

――「黙らせろ」とか、すごいこと言いますね。

そやろ。毎日、そんなふうに言われたら、ホンマ心も体もおかしくなるで。そのうち、体が条件反射を起こすようになった。夕方、Bが帰ってきただけで、気分がドヨンと落ちたり、過呼吸とか、脈がいきなり140くらいまで速くなって目まいがしたり。あとは、冷や汗がばっと出たりもしたな。加えてバセドー病っていう目が飛び出たりする病気にもなったしな。

――そんな中で育てられたお子さんは、大丈夫だったんですか?

Bの叱り方が変やったわ。Bは“おいた”をした3歳の息子を正座させて、やったらあかん理由も言わんで「なんでしたんや。なんでしたんや。なんでしたんや」って、ずっと言い続けたり、息子を持ち上げて「わかってんのか!」みたいな感じで揺さぶったり。それ見て、この人ちょっと違うかもって思った。