「賭け」だと思って再婚を決意したが…

――それは……。なんというか、運命的というか。

Bに「どないしよう」って相談したら、「産んでくれ」って即答。うちかて一人では不安やから、「じゃあ、もう1回やり直してみる?」って言いました。Bは離婚したがってなかったんで、当然、賛成。そんなんで、Bと再婚することにしたんです。これはもう、一種の賭けやな。今度こそ、Bと一緒にやり直せるかどうかの。うちは生活保護を切って、もう1回、籍を入れたんです。とにかく、それでやり直した。

――Bさんは、改心してくれましたか?

いやいや。変な癖がついてた。うちと別れた後、一人の寂しさを埋めるためにインターネットゲームにはまっててん。いわゆる『モンハン』(モンスターハンター)っていうやつ。それにドハマリしてて。ご飯食べる・寝る以外、家のど真ん中で、ずっとモンハンやってんねん。息子が話しかけても、「やかましい。今忙しいんじゃ」って言って、ずっとやってました。仕事ちゃうから、忙しいもクソもあるかって感じなんやけどね。

息子がトイレの壁に小さく書いた「とうさんしね」の文字

――ゲーム中毒ですか。かなわないですね。

そのうち、Bは1週間以上、とびの仕事がないのもざらとか、めっちゃ暇になって。生まれてきた娘のミルク代やおむつ代に困るようになったんやわ。かといって、うちは体の調子とか子育てとかで働かれへんからな。「ほかにバイトしてくれへんか」って、お願いしたんや。そしたら「おれは職長やから、電話かかってきたときに、すぐに仕事に出れるようにしとかな話にならん。だから、おれはほかのバイトはでけへん」って返事されたんやわ。

――言い訳めいてますね。

ミルク代も払えるか払えへんかギリギリの状態になったとき、息子がトイレの壁に書いた、文字を見つけたんです。すごい小さい字で「とうさんしね」って。それ見てうちは「この人と一緒におったらあかん、もう無理」って思って、決断を迫ることにしました。

――“決断”というのは、離婚かバイト?

そうです。「このままやと生活できひん。バイトしてくれる? また別れるか? どっち選ぶん?」って迫りました。Bが「わかった。じゃあバイトするわ」って言ってくれるかなと思って言うてん。でも言われたんは、「出て行く」っていう言葉やったわ。それから1カ月ぐらいで出て行きよった。そのとき息子は小学生、娘は1歳前やった。離婚してなかったら、もっと我慢せんとあかんかった。だから別れるっていう選択しかなかったんやわ。