食品・飲料メーカーのネスレ日本は、従来の瓶入りコーヒーを販売するモデルから、カートリッジ式コーヒーによるサブスクリプションモデルへの転換を図っている。500社以上のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援してきた、Kaizen Platformの須藤憲司さんが、同社の島川基さんにインタビューし、DXによって何を実現しようとしているのかを聞いた――。
※本稿は須藤憲司『90日で成果をだすDX入門』(日本経済新聞出版社)の一部を再編集したものです。
「家族一緒に飲むコーヒー」から「一人1杯ずつ入れるコーヒー」へ
世界最大の食品・飲料メーカーであるネスレの日本法人、ネスレ日本は、製造業からサブスクリプションを含む新しい付加価値のあるサービスを提供するビジネスモデルへの転換にチャレンジしています。「ネスカフェ ゴールドブレンド」など認知度の高い瓶入りのコーヒーを中心に消費者に販売するモデルは、今後起き得るさらなる人口減や高齢化に伴いシュリンクすることが予測されているため、別の活路を開こうとしています。
共働き世帯の増加などで人々の家庭内での滞在時間が減少し、家族分のコーヒーを一気に淹れる機会が少なくなり、一人1杯ずつコーヒーを楽しむニーズが年々高まっています。そのような中でネスレ日本は、本格的なカフェメニューが楽しめる1杯取りコーヒーマシンの開発・販売に力を入れています。
コーヒーマシンで1杯取りをするコーヒーは、単価としても瓶入りコーヒーより高く設定できます。
テクノロジーを活用して単価アップを図るというのは、国内市場が縮小していく中で大きなヒントになりそうです。
そこでのチャレンジとして考えられるのが、販売チャネルの転換です。