絶対に失敗できない重要なプレゼン、大勢の前で話す初めての講演会……ここぞというシーンで緊張してしまう。心配や不安が強く出る。精神科医で産業医の井上智介先生のところには、そんな相談が増えていると言います。焦らず、いつもどおりの力を出すためには、どんなことを心がければよいのでしょうか。
大舞台でプレッシャーに勝つコツ
「失敗したらどうしよう」「いくら練習しても心配」……、大舞台を前に不安にかられてしまいどうしたらいいか、外来でもよく受ける質問です。
そのときに僕がお伝えしていることは4つあります。
1.結果を気にしない
私たちはプレゼンなり講演なり何かにチャレンジするときは「うまくやろう」と、つい結果にこだわってしまいます。しかし結果を意識すればするほど当然ながら、うまく力は出せません。
そういうときは、いったん結果を出すことは忘れて、自分にできる最大限のパフォーマンスを出すことを考えてみてください。たとえば自分を育ててくれた人に、自分の頑張っている姿を見せて恩返ししたいとか、チャレンジをしている姿で誰かを勇気づけたいとか、結果に至る姿を見せようと考えれば、結果そのものに揺さぶられません。
結果は、あとからついてくること、だから今できることを最大限にやろう。そういうふうに思えるのです。そうすれば、緊張感から解放されて、リラックスして臨めるでしょう。
2.一点を凝視する
人間が外から受ける刺激は、80%以上視覚に頼っています。ですから平常心を保つには、視覚刺激をシャットダウンすることが大切です。
ただ目を閉じてしまうと、かえって頭の中でいろいろなことがかけ巡り、余計に緊張したり、ソワソワしたりすることがあります。ですから、おすすめは目を閉じずに、一点をじっと凝視する方法。たとえば自分の手や手元にあるペンなどをじっと見る。今それを見ていることに集中して余計なことは考えない。
プレゼンや講演会を行う会場の広さや人数の多さを知って「うわっ」となっても、一点をじっと見つめているうちに、だんだんと落ち着くでしょう。