長い年末年始休暇を終えて、さあ仕事! と思っているのに、なかなかエンジンがかからない、まわりのスタートダッシュについていけない……。「休み明けにメンタルの不調を訴える人は多い」と言うのは、精神科医であり産業医の井上先生。特に女性は年始以降のメンタル不調が多いそう。原因とその対策について教えてもらいました——。
休み明けに不調になりやすいのはなぜか
年末年始休暇が明けると「朝、起きられない」「仕事に行きたくない」といったメンタルの不調を訴える人が増えてきます。また、年初からバリバリやる気のある人を見て「自分はそこまでやる気になれない」と落ち込む人も。こうした不調や落ち込みは、だるさや頭痛、吐き気といった体の症状としてもあらわれます。
なぜ休み明けに、こうした不調があらわれるのでしょうか。その大きな原因は“生活リズムの乱れ”です。年末年始は、大掃除や年賀状書き、おせち作りといったイベントが増えて、就寝も起床も時間がバラバラになります。また家族みんなが休みになるので、夫や子どものペースに巻き込まれて、自分のペースが守れなくなるのも、生活リズムが乱れる要因になるでしょう。
日本の女性にのしかかる年末年始の重い負担
実は年末年始に入院する女性は、非常に多いんです。年末の仕事納めのころから、だんだん体調を崩して入院する人、あるいは毎年この時期に調子が悪くなることから、あらかじめ予約入院する人もいます。これを専門用語でレスパイト入院と呼びますが、たまったストレスで調子が悪くなるのを入院という形で回避させているのです。
この時期に男性の入院が増えるということはあまりありませんので、日本の女性には、年末年始の仕事の負担が重くのしかかっている、ということがよくわかります。その負担は家事労働という物理的なものだけに限りません。たとえば夫の実家に帰省するなどの精神的な負担も含まれます。