新型コロナの感染者数や死者数は、依然インフルエンザ以下

2020年は言うまでもなく、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)に、全世界が振り回された年であった。これを執筆している20年11月末現在、新型コロナ感染拡大を受け、東京都は酒類を提供する飲食店などに時短営業の要請をしている。

診療する医師
写真=iStock.com/itakayuki
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実行することでどれほどの効果を見込めるのかという科学的、医学的根拠に乏しく、また目指すべきゴールも明らかにされないままの要請となり、私は残念に感じている。読者にはぜひ冷静に、多角的な視点から医療健康の分野を見つめてほしい。

今回は「根拠ある医療健康情報」という本趣旨の角度を変え、「現実(根拠)」から「未来への予測(情報提供)」を示そう。

まず最も皆が気になるであろう新型コロナの今後について。

「現在(20年11月末)は21年1~2月の1日に数千人の陽性者発生に向けて上昇しているところです」と東京医科歯科大学臨床教授で秋葉原駅クリニックの大和田潔医師。数千人と聞くと驚いてしまうが、欧米では2020年11月の段階で「1日数万人単位」の新規感染者が発生している。

また国内でも例年、インフルエンザではピーク時に1日数万人が発症し、死者数は平均50人程度。新型コロナは感染者数も死者数もどちらもそれをはるかに下回っていることを忘れてはならない。

日本で最も救急搬送患者を受け入れている病院の声

そして「医療逼迫」も話題になってきたが、現場はどう感じているか。日本一、救急搬送患者を多く受け入れている湘南鎌倉総合病院救命救急センター長の山上浩医師はこう話す。

「救急病院として“通常の救急診療の質”を落とさず、新興感染症に対応しなければならなかったことが最も苦労したことでした。特に春頃は、検査結果が出るまでに時間がかかったので、新型コロナかどうかわからないけれど可能性はある、いわゆる疑似症を受け入れるのがどこの病院でも難しかったと思います」