WHOは「冬の最低室内温度として18度」と勧告

寒くなってきても、これくらいなら耐えられるからと、暖房器具を利用することをつい控えていないだろうか。

しかし、それでは健康を守れない。

加熱装置。対流、ファン、オイル充填、赤外線ヒーター
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2018年11月に発表された「WHO 住宅と健康に関するガイドライン」では、「冬の最低室内温度として18度」(高齢者や小児はさらに暖かく)と勧告された。国内の大半の家は、何もしなければこの室温に達しないことがわかっている。

長年、住宅と健康について調査研究を続けてきた慶應義塾大学理工学部の伊香賀俊治教授も「寒いのを我慢しないこと」と強調する。

「いろいろな家を訪問していると、国内では驚くほど寒い家が多いんです。住んでいる方は、冬だからこれぐらい寒くても当たり前、ずっとこういう生活だったからと言います。でも室温が低い環境で生活し続けると、血管に負担がかかって病気のリスクが高まり、年齢を重ねるほど健康寿命に影響します」

18度を下回ると循環器疾患、16度を下回ると感染症などの発症や、転倒、怪我のリスクが高まるという報告が数多くある。そのほかにも脳の若さや咳の症状、頻尿リスクなど、室温は体に多くの影響を与えているのだ。

光熱費の心配より、健康のために暖房器具を使うことを意識しよう。