悩んで停滞するのではなく、ともかく動く

新年の始まり、すべては最初の一歩からという思いを込め、「歩く」をテーマに記事を届けたい。

以前、プロスキーヤーで冒険家の三浦雄一郎さんの長女、恵美里さんを取材したとき、「たとえ目的地が遠くても、踏み出さなければ近づきません」という言葉があった。常に山頂を目指す三浦ファミリーは、その最初の一歩を踏み出すことに躊躇がないのだ。悩んで停滞するのではなく、ともかく動くこと、歩くことを重視する。

森の中でジョギングをするシニアカップル。
写真=iStock.com/gilaxia
※写真はイメージです

恵美里さんはこうも話していた。

「人は何かをやろうとするとき、年だから、病気だからと、“できない理由”ならたくさん思い浮かぶんです。でも、父はいいます。“できる理由”を探すほうが人生は楽しい、と」

煮詰まったり、何かに悩んだりしたら歩いたほうがいいという。

知らないコースを歩いてみると脳の刺激になる

実際、歩くことは脳に刺激を与える。『たった5センチ歩幅を広げるだけで「元気に長生き」できる!』(サンマーク出版)の著者で、国立環境研究所主任研究員の谷口優氏によると「自分が歩いている姿を思い浮かべるだけで脳の血流量が増える」という。

「歩く動作は、歩いた道を覚える『記憶力』、自動車が近づいてきていないかなど、周辺に気を配る『注意力』、自分がどの方向に進んでいるかを把握する『視空間認知』など、複数の機能が必要になります。しかし、いつもの歩き慣れた道では駅の方向や道路の混雑状況などを知り尽くしているので、それほど脳のトレーニングにならないかもしれません」(谷口氏)

つまり、新しい道を歩けば、いろいろな方向に注意を払う必要があるため、頭を刺激することになるのだ。知らないコースを歩いてみよう。また、筋肉量が増える歩き方をマスターしたい。