加齢が引き起こす体の不調。放置していれば、取り返しのつかない事態を招くこともある。「プレジデント」(2018年1月1日号)より、9つの部位別に、名医による万全の予防策を紹介しよう。第6回のテーマは「肌」――。

シミ、シワ、イボは、こうして防ぐ!

同じ年齢でも若く見える人、老けて見える人がいるが、肌の老化は見た目に影響するだけではなく、「体内の老化も表している」と、形成外科医で、細胞の老化にも詳しい北條元治氏は指摘する。

「老化を細胞の減少ととらえると、肌の老化は22、23歳ごろから始まっていると言えます。しかし、細胞が減っても肌としての機能は維持できるため、見た目に影響し始めるのは40代くらいからです」と北條氏は説明する。細胞の減少は体全体で起こるので、老けて見える人は、血管も老化が進んでいる傾向がある。

肌の老化は、皮膚を構成する細胞が減少して皮膚が薄くなり、弾力性がなくなり始めると見た目に表れる。人間の皮膚は「表皮」と「真皮」の二重構造になっていて、真皮の下には皮下脂肪が蓄えられている。表皮が老化すると紫外線の影響を受けやすくなり、メラニン色素の濃度が高くなって、肌の透明感が失われる。こうして起きるのがくすみ、さらにメラニン色素が沈着してできるのがシミだ。真皮の弾力性やうるおいがなくなると、シワたるみクマができる。

加齢に伴うシミの代表に、紫外線による老人性色素斑がある。さらに、紫外線を長時間浴びると、老人性イボ(脂漏性角化症)になったり、皮膚がんも発症しやすくなる。皮膚がんは手術で取れば、命には別状ないことがほとんど。皮膚がんの一種である悪性黒色腫(メラノーマ)となるとやや深刻だが、北條氏は「日本では新規に発症するのが1年に1000人程度と、非常に少ない。皮膚がんも、悪性黒色腫も、素人が見ても異常に気付きやすいので、おかしいと思ったらすぐに病院に行ってほしい」と話す。