3万5000円でも飛ぶように売れる

中間価格帯が最も苦戦
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中間価格帯が最も苦戦

2009年3月、ジーユーが990円ジーンズを発売して以降、激安ジーンズが市場を席巻した。セブン&アイ・ホールディングス、イオン、西友など総合スーパーも800円台のジーンズを続々と投入した。

一方、国産ジーンズ発祥の地といわれる岡山県倉敷市児島にあるジーンズメーカーでは、高価なオーダージーンズが堅調な販売を続けている。そのうちの1社、ベティスミスでは2万9400円からというオーダージーンズの受注が、09年は生産可能本数限界の約2000本に及んだ。平均単価は3万5000円で、9万円ほどの商品を注文する人もいるという。

ジーンズの世界で苦境に追い込まれているのが、これまで中核を担ってきたブランドだ。リーバイ・ストラウス ジャパンは09年11月期決算で、売上高が前期比約28%減の171億円、営業損失6億8700万円となった。ジーンズ専門店であるジーンズメイトやマックハウスも10年2月期決算で、前期比売上高が1割程度減少し、営業赤字に転落した。

実は、激安ジーンズが出回るほど、高級ジーンズ市場も活性化する。そして市場には「安い」と「高い」だけが残り、中間価格帯のメーカーは苦戦する。

総合スーパーの激安ジーンズの儲けを調べたところ、30~38%の粗利益率は確保しているという。これを可能にしているのは、顧客の体型、つまり腰回りと股下のサイズをパターン化し、プレカットする手法だ。

従来は、購入時に裾上げなどして生地を切り落としていたが、約30本で1本分の生地が無駄になっていた。プレカットであれば捨てるところがない。激安ジーンズの原価の半分は生地代だから、これは大きい。その生地自体も独自開発によってコストをさらに抑えている。