体型パターンは過去のPOSデータの蓄積からはじき出しているため、特定サイズが売れ残るリスクも抑えられる。激安ジーンズを撒き餌に集客できれば、ベルトなどの関連購買を増やし、ほかの売り場へ顧客を呼び込むことも可能だ。つまり、総合スーパーだからこそ利益を生み出せるカラクリがここにある。
激安ジーンズは消費者を納得させる品質、デザインだが、同時に他人と差別化したいという声を生み出した。もっと自分の体型に合わせフィット感を高めたい、フォルムをきれいに見せたいというニーズによって、オーダージーンズのマーケットが深耕されている。
オーダージーンズの市場自体大きくはないが、一本の商品から利益が出るよう損益分岐点が設定されており、利益率の点でも有利だ。まず、オーダージーンズを買う人はこだわりがあるため、お客のほうからジーンズメーカーを探して買い求めるケースが多い。激安ジーンズなら商品の回転率を上げるために広告宣伝費をかけなければならないが、その必要がないためネットや口コミで十分。
さらに、オーダーを受けてからつくるので在庫はゼロ。つまりノーリスクだ。また、オーダーメード商品の購入者は所得が高い人に限らない。要は好きか嫌いかという価値観で選ぶ。そして一度オーダージーンズを買った人は、繰り返し購入する。
ジーンズは普及率の高い、日常的な商品であるがゆえにオーダーメードが映える。今後、シャツ、スーツ、靴といったものからゴルフ用品、自転車といった嗜好品まで、日本のオーダーメード市場には拡大の余地がある。私も最近購入したスーツは全部オーダー派。着やせするよう工夫してつくってもらっている(笑)。
(構成=小澤啓司)