巣ごもり需要を受け急成長中
先日届いたニュースリリースには「世界各国の料理を楽しめるフローズンミール」と書かれていた。
傘下にファミリーレストラン「ロイヤルホスト」を展開するロイヤルホールディングス(HD)は、冷凍食品ブランド「ロイヤルデリ」をリニューアルした。2019年12月から始め、商品ラインアップは全25品だったが、今回は「世界各国の料理」を掲げて全45品に拡大。10月30日からは「冬ギフト&クリスマスケーキ」の受け付けも始めた。
目下の販売は好調だ。2020年7~9月の販売実績は1~3月に対して4倍超。日本中が外出自粛となった4~6月期は同5.8倍だった。
なおロイヤルデリは家庭で食べる冷凍食品だが、これを店頭で提供するレストラン「ギャザリング テーブル パントリー(GATHERING TABLE PANTRY)」も東京・二子玉川で展開している。開店時は、現金不可、キャッシュレス専用という先進的な店づくりでも話題を集めた。
筆者は今年1月、まだ新型コロナウイルスが日本を直撃する前に同店を訪れ、味を楽しんだ経験もある。
コロナ禍でレストラン事業が厳しい局面のなか、同ブランドの責任者を取材し、その取り組みを聞いた。
旅行ができない代わりに世界の料理を楽しんでほしい
ロイヤルデリの概要について、事業責任者である庵原リサ氏はこう説明する。
「現在、ロイヤルホストは国内で219店を展開しますが、ロイヤルデリは空港内店舗を除き全店に導入し、店内でも販売しています。オンラインでの販売も同時並行しており、ロイヤルデリ事業全体に占める割合は『EC6割:店舗4割』(4~6月時点)。最近は店舗販売も伸びています」
※取扱商品は店舗により異なる
なぜ、今回「世界の味」を掲げたのか。
「コロナ禍での生活が続き、お客様がロイヤルデリに期待される役割も変わっています。海外旅行ができない現在、ご自宅でも旅行気分を味わっていただけないか、と考えました。
企業としてのDNA(遺伝子)もあります。当社は1951年の創業で、事業は日本航空国内線の営業開始と同時に、福岡空港において機内食搭載と空港内の喫茶営業から始まりました。その後、事業拡大に伴い、国内外の航空会社が運営する飛行機の機内食も担当。レストラン事業も行い“世界の味”を紹介するのは当社の得意分野なのです」
コロナ禍で大打撃を受けたが、同社の「機内食事業」は主力事業のひとつだ。世界の航空会社約30社向けに供給し、長年ファーストクラスからエコノミークラスまでの乗客・乗員が機内で味わってきた。レストラン事業と機内食で培った調理技術の蓄積もある。
ただし、「レストランの味を家庭で再現」はそう簡単ではなかった。