レストランの味をどうやって再現したか

「ロイヤルホストでは、自社グループが運営するセントラルキッチン(工場)でつくられた食材を、各店のシェフがひと手間かけて仕上げます。例えば『シーフードドリア』の場合、セントラルキッチンでシーフードドリア用のソースを作ります。それを各店舗に運び、店内でバターライスを炊く、ソースを加える、シーフード具をのせる、粉チーズをふる、オーブンで焼くなどの調理作業を行い、店のお客様に提供します。

一方、ロイヤルデリのシーフードドリアは解凍した商品を外袋から取り出し、お皿に乗せてラップをかけ、電子レンジで温めるだけ。出来上がりから逆算して商品設計を細かく行う必要がありました。料理の味の総責任者である西田光洋(イノベーション創造部・R&Dシェフ)を中心に試行錯誤しながら仕上げていったのです」(庵原氏)

「ラザニエッテ」(右)と「海老とチキンのマカロニグラタン」
撮影=プレジデントオンライン編集部
「ラザニエッテ」(右)と「海老とチキンのマカロニグラタン」

ここで紹介した「シーフードドリア」は602円(+税。以下同じ)。人気の「ビーフシチュー」は723円、「バターチキンカレー」が538円、新たに加わった「魯肉飯」(ルーローハン)が602円となっている。商品の価格は1品で1000円を超えるものはない。商品ごとに電子レンジや湯煎して食べられるよう商品設計がされている。

ロイヤルデリのオンラインストアでは、これらの商品を「美食の国 イタリアのショートパスタ」「ヨーロッパの料理」「クラシック洋食」「旅気分で巡るアジア料理」「オリジナルカレー」「アメリカの料理」「パスタソース」「パン&スイーツ」「セットメニュー」とグループ分けして訴求した。「シェフのアレンジレシピ」もあるのは同社らしさだ。

ロイヤルデリの商品例(公式サイトより)
ロイヤルデリの商品例(公式サイトより)

主力事業が軒並み大打撃を受ける

そんな甘い気分が吹っ飛ぶ現状も、紹介しなければならないだろう。

近年のロイヤルHDは、安定経営を続けてきた。2015年12月期の売上高は1303億円で、直近5年間は着実な右肩上がりを続け、2019年12月期の売上高(連結)は1405億円に拡大した。営業利益率の低下や経常利益の伸び悩みは懸念材料だったが、2019年は約46億円の経常利益を計上している。

それが、新型コロナウイルスで一変した。外出、出張や旅行の自粛、通勤の見直しなどで、屋台骨を支える主力の「外食事業」「コントラクト事業」(施設内のフードサービス事業)「機内食事業」「ホテル事業」「食品事業」の5大柱がすべて影響を受けたのだ。

外食事業のロイヤルホストは、2020年は2月まで売上高が「103%」(既存店前年比)を超えていたが、3月から一気に落ち込み、日本中が外出自粛となった4月は「42.1%」にまで落ち込んだ。現在は最悪期から脱したが、7~9月までは同80%台が続く。