「ラーメンの出前」が令和の時代に再び注目されるように
今年初頭から現在に至るまで続くコロナ禍は、日本のビジネス風景を一変させた。
中でも飲食業は大きな影響を受けた業種のひとつで、ラーメン店もその例外ではない。
「ラーメンデータバンク」の創業者で現会長の大崎裕史氏は、未曽有の危機の中でラーメン店が見せた動きについてこう話す。
「他の飲食業同様、店内では客が座れる席を間引いて距離を保ったり、客と客との間に衝立を置いたり、あるいはデリバリーを始めたりといったことは、ラーメン店も取り入れました」
昔は町の中華料理屋がラーメンの出前をするのはごく普通の習慣だったが、近年のラーメン一本で勝負している店は、まず出前注文など受けなかった。しかし新型コロナウイルス感染拡大に伴う人々への外出自粛要請などで客足がまったく途絶え、と同時に宅配代行業者が台頭してきている昨今の状況の中、“ラーメンの出前”が令和の時代に再び注目されるようになったのだ。
あの「一風堂」が8月からデリバリーを開始
「ただ私はコロナ禍を受け、人気ラーメン店が一斉にデリバリーを始めるだろうと予想していたんです。しかし、さすがに麺の伸びやスープが冷めることを懸念したからか、思っていたほど対応する店が増えなかった印象ですね」(大崎氏)
そんな中、全国に多くのファンを持つあの店がデリバリーを開始したことは、業界で大きな話題になった。
「『一風堂』が、8月からデリバリーを始めたんです。これは画期的なこと。他店の動向も見極めた上で、思い切って導入に踏み切ったのでしょう。しかも今はやりの『Uber Eats』ではなく、『出前館』を通じて行うというのが興味深いところです」(大崎氏)
同店のデリバリーとんこつラーメンに使われているのは、専用に独自開発した伸びにくい麺なのだとか。しかもラーメンだけでなく、チャーハンや餃子といったサイドメニューも注文可能だ。