ついに終焉を迎えたタピオカブーム

2018年ごろからブームが続いていたタピオカ店が、相次いで閉店している。目立つところでは、5月に「COMEBUYTEA表参道店」、6月に「comma tea恵比寿店」が閉店。浅草のタピオカ専門店「8ドシー」も、6月に「台湾菠蘿油(タイワンボーヨーロー)」という日本初のボーヨーロー(香港発祥のパン)専門店へとリニューアルした。

ブームになっていたタピオカドリンクだが……
写真=筆者提供
ブームになっていたタピオカドリンクだが……

「タピオカ専門店が閉店しているのは、都内だけではありません」

こう指摘するのは、サイバーエージェント次世代研究所研究員の松野みどり氏だ。

「SNS上ではコロナの自粛期間中に地方でも多くのタピオカ店が閉店していることを確認できます。私たちはタピオカ店の閉店は全国的な現象だと捉えています」

コロナの影響を受けたのは、もちろんタピオカ店だけではない。緊急事態宣言解除後も営業時間の制限などの自粛要請は続き、飲食業界全体がダメージを受けている。タピオカ店の閉店が相次いでいるのも、飲食業界全体の苦戦を考えればあたりまえに思える。

しかし、松野氏は「同じ飲食業界でもチャネルによって影響の受け方が違う。もう少し細かく見ないといけない」と指摘する。

具体的にデータを見ていこう。サイバーエージェント次世代研究所では、実店舗での購入頻度が新型コロナウイルス感染拡大前と比べて自粛期間中にどのように変化したのかを調査した。

15~19歳で購入頻度が「減った」という回答がもっとも多かったチャネルは「ショッピングモール」の62.0%で、「増えた」の5.7%を大きく上回っている。他の実店舗チャネルも軒並み「減った」が「増えた」の回答率を上回っており、買い物の頻度が全体的に減っていることがわかる。

15~19歳の実店舗での購入頻度(自粛期間中と自粛期間前の比較)

その中で唯一、「増えた」の回答率が「減った」を上回ったのが「飲食店でのテイクアウト」だ。15~19歳では、「増えた」が27.3%で、「減った」が24.8%。わずかだが、自粛期間中にテイクアウトする機会が増えたと答えた人のほうが多い。この傾向は20代、さらに全世代でも同様で、自粛期間中にテイクアウトニーズが高まったことが読み取れる。

「タピオカティーは、テイクアウトに向くドリンクです。席に座ってゆっくり楽しめる専門店もありますが、テイクアウトを前提としたスタンド形式の店舗も少なくありません。テイクアウトであれば、一般の飲食店と違ってコロナ禍は追い風になりえます。にもかわらず、実態としては逆に閉店が相次いでいるのです」