マンションの屋上緑化で資産価値の向上も
地球温暖化をはじめとした環境問題に対応するため、自治体は“エコ助成”を拡充させている。住民としては、環境保護と快適な暮らしを同時に実現できる制度を利用しない手はない。
今、多くの自治体が頭を悩ませているのは、自然への負荷が大きいゴミ処理だ。家庭から出る可燃ゴミを減らすため、電動生ゴミ処理機の購入費を助成する市区町村が増えている(図1)。社団法人・日本電機工業会によると、助成制度を持つ市区町村の8割近くが購入代金の半額以上を助成している(図2)。助成額の上限では「2万円以上~3万円未満」が649自治体と最も多いが、「5万円以上」も40自治体あった。
ただし、利用に際しては処理機に入れてよいもの悪いものを分別するなど手間もかかる。千賀はるみ・市環境部ごみ対策課減量推進係長は「使い続けてもらわないと意味がありません」。購入者はこの言葉を肝に銘じよう。
一方、ヒートアイランド現象への対策として静かなブームとなっているのが建物の屋上緑化だ。芝生や家庭菜園から樹木を植えた本格的な庭園まで様々な装いが屋上を覆う。
銀座など商業ビルが集中する東京都中央区では今年度から、屋上や壁面などの緑化事業に対する助成金の上限を50万円からいっきに200万円へ増やした(屋上・ベランダの場合、1平方メートル当たりの限度額は3万円)。23区内では最高額だ。また、これまでは一律に2分の1だった購入費への助成割合を住宅だけ3分の2に引き上げた。
この上限引き上げに伴って、特に既存マンションの管理組合からの問い合わせが増えているという。屋上部の断熱効果だけでなく、「緑が増える」ことによって資産価値の上昇が見込めるからだ。
中央区では今年度、緑化助成のための予算を1700万円組んだが、「必要に応じて、さらに増額補正もありうる」(宮本恭介・中央区土木部参事)とのこと。利用を熱心に呼びかけている。
その最高ランクの1つ、東京都小金井市は2007年度に上限額を3万円(助成比率5割)から5万円(同8割)に引き上げたばかり。理由は、ゴミ焼却場が老朽化のため06年度末で使えなくなり、可燃ゴミの減量が緊急課題となったからだ。07年度は申請が殺到した。当初予算は1000台分だったが、最終的には1828台になった。助成額は1台平均で約4万3000円。購入価格にすると5万4000円弱だから、自腹は1万円程度だ。
申請方法も簡単。事前に市役所で申し込み、購入後に領収書など必要書類を持って再度、市役所へ行くだけ。翌月末には指定した口座へ助成金が振り込まれる。同市では3年前に家庭用ゴミ袋が有料化されたので、生ゴミが減れば家計にも優しいというわけだ。