内閣府特命担当大臣 亀井静香(かめい・しずか)
1936年、広島県生まれ。60年、東京大学卒。別府化学工業(現・住友精化)を経て、62年、警察庁入省。79年衆議院議員初当選。2009年より現職。
「CIAが暗殺でもしない限り、新政権は米国の思い通りにならない……」
帝国ホテルで行われた内外情勢調査会全国懇談会講演(2009年12月15日)。迫力あるだみ声がホールに響いた。亀井静香氏の過激発言は昔からだが、今はその一言一言が鳩山内閣内に嵐を巻き起こす。
普天間基地問題では「日本は米国債を100兆も買っている」と強気の姿勢を崩さず、子ども手当では「鳩山首相のお孫さんにあげるのは誰も納得しない」と所得制限を主張した。2次補正額で対立した菅直人副総理・国家戦略担当相と「幼稚園児のけんか」のようなののしりあいの場面もあった。
警察官僚出身で、村山内閣で運輸相、第2次橋本内閣で建設相と要職を歴任した。小泉内閣の郵政改革に反対し離党、綿貫民輔氏と国民新党を結成するまでは、最も自民党的な主流派政治家の一人として総理・総裁の座を狙ったことも。郵政解散選挙では「オレはアパッチ族の酋長」と述懐するほど「刺客」に追いつめられた。だから与党の座に返り咲き、日本郵政社長だった西川善文氏を解任し、モラトリアム法案をぶち上げる様子に私怨も透けて見えた。だが、同時に暴言にも強引さにも計算された“政治屋”の駆け引きがある。
鳩山政権の火種といわれ、次期参院選で民主党が過半数議席を獲れば連立を切られる、という声も聞こえる一方、マニフェストにがんじがらめになっている民主党の政治に異見を呈し、与党内抵抗勢力として自民党の存在意義を完全に消す効果もいなめない。自ら「ハトを守るタカ」を名乗るが、衆参あわせわずか8議席の少数政党を率いて423議席の民主党をゆさぶる政治巧者の存在は、確かに鳩山政権が長期政権となるかどうかの鍵ではないか。