ザ・リッツ・カールトン・ホテル・カンパニー社長 兼最高執行責任者 サイモン・クーパー
1945年、英国生まれ。カナダ・トロント大でMBA(経営学修士)。大手ホテルチェーンのマリオット・インターナショナルを経て、2001年から現職。好きな格言は「変化を好まない者は、なおさら時代遅れを好む」。
リーマン・ショックで、一気に客足が遠のいた外資系高級ホテル。2009年は需要喚起を狙った宿泊プランで、この夏以降は国内レジャー客を取り込んだ。外国人ビジネス客の利用も回復傾向で、客室稼働率は改善。ようやく最悪期を脱したとみられる。
そうしたなか、金融危機の荒波にもまれず、前年同期比で客数を伸ばしているのがザ・リッツ・カールトン東京、同大阪だ。スーパーラグジュアリーと呼ばれる超高級ホテルでその名を知られ、平均客室単価はリッツ・カールトン東京で4万~5万円と、他の高級ホテルに比べて頭一つ抜きん出る。
高価格だけに金融危機の影響をもっとも受けたのではと思われた。ところが実際は逆だった。ザ・リッツ・カールトン・ホテル・カンパニーのサイモン・クーパー社長はいう。
「例えば、リッツ・カールトン東京は2007年の創業以来、いくつものすばらしいホテルが東京にオープンするなど競争は非常に厳しくなっているにもかかわらず、客室稼働率は80%を超えています(09年10月期)。また、アメリカの旅行雑誌『コンデナスト・トラベラー』誌が選ぶ『世界のベストホテル100』ランキングでも、リッツ・カールトン東京は、アジアで第2位の評価をいただきました」
宿泊客の5割がリピーターになるというリッツ流サービスには定評がある。
「リッツ・カールトンなら、世界中のどの場所でも自分が期待するリッツ・カールトンのサービスが受けられる。そう考えるお客様が多いのはとても光栄なことです。私たちは今後もただ高価なだけでなく、信頼と親しみをもっていただけるブランドであり続けたいと考えています」
その言葉に好不況の波に翻弄されない強い企業のヒントがある。