今春の全国一斉休校では、多くの学校が教科書に沿ったプリントでの家庭学習を指示した。しかし千葉県教育委員会の調査によると、9割近くの子供は学習が定着しておらず、再学習の必要があるという。教育評論家の石田勝紀さんは「これから休校による落ちこぼれ世代が大量発生するおそれがある。この責任をだれがどう取るのか」という——。
子供の勉強は家庭にお任せ、文科省「丸投げ」のツケ
新型コロナウイルスの感染拡大により全国一斉休校が始まったのは3月2日のことだった。当初は春休み終了までの措置ということだったが、4月7日に緊急事態宣言が発出されたことにより、全国の学校の休校が延長された。緊急事態宣言解除の5月25日以降も学校は分散登校や休校延長により、完全に平常授業に戻ったとはいえない状況だった。
その間、学校によってはオンライン授業を取り入れることもあったが、双方向型授業の導入校はごく一部にとどまった。動画を急ごしらえで作り上げた自治体もあったが、多くはプリントなど課題を出すことで家庭学習を促進する対応をとってきた。
文部科学省は4月21日に各都道府県の教育委員会に向けて、「全国の学校で児童生徒に教科書に基づく家庭学習を課すよう求める通知」を出したが、その背景には遅れた学習内容を少しでも進めることにより、2020年度内にカリキュラムを消化しようという意図があっただろう。
これに先んじて、4月10日に文科省は「休校中の児童生徒が家庭学習を通じて学力を身につけたと確認できる場合、学校再開後に同じ内容を授業などで行わなくてもよい」とする特例の通知を出していることからも、「年度内のカリキュラム消化」を強く意識していることがわかる。
「それで済むなら、そもそも学校はいらない」
しかし、各家庭の親は、そのような学校側の「丸投げ」の対応で子供の学力が十分に身に付くとは到底考えなかった。
筆者が主宰する子供を持つ母親向けのサークル「Mama Café」において、家庭における子供たちの状況をヒアリングした際にも、それは確認できた。母親たちは、「オンラインや課題プリントだけで学力の定着ができるはずがない、それで済むなら、そもそも学校はいらない」と一様に学校側の無責任ともいえる対応に憤慨していた。