新型コロナウイルスの影響で、今年の受験は例年と違う形になりそうだ。こんなとき、子供にはどんな声をかけるべきなのか。プロ家庭教師集団「名門指導会」代表の西村則康さんは「不安なのは親も子も同じだ。子供には不安にさせる言葉よりも、成功の予感を感じさせる言葉をかけたほうがいい」という――。
Ema 礼拝を学校の成功
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塾の宿題は、全部やらなくていい

新型コロナウイルスの影響で多くの小学校で、4~5月の休校の穴埋めをするために、夏休みを短縮している。

困ったのは、来春受験を控える6年生の受験生だ。7月中は学校が終わってから、塾で夏期講習を受けるというハードな日々を送ってきたことだろう。小学校がようやく夏休みになったと思ったら、塾の勉強が本格化する。6年生の夏休みは、「中学受験の天王山」と言われるほど、塾では重要な位置付けになっている。授業はこれまで習った内容の総復習で、演習と解説が中心となる。

例年であれば、お盆期間は塾も休みになるが、今年は7月終わりと8月終わりに学校があるため、その分の勉強をお盆期間に充てるところもある。6年生はほとんど休みがない状態だ。連日の塾通いだけでも大変なのに、さらに毎日大量の宿題が課される。真面目な親ほど、それを全部やらせようとするが、小学生のキャパを明らかに超えていることに気づいてほしい。

塾の宿題は取捨選択が必要だ。親からすると、宿題はやるのが当たり前と思うかもしれないが、それは小学校の話。塾の宿題は量が多いだけでなく、難度の幅も広いためムダが多い。すでに理解できているものはやる必要がないし、いくら考えても分からないような難問には手を出さなくてもいい。やるべきものは、あと少し頑張ればできそうな問題だ。それができるようになればいい。そうやって、割り切らなければ、子どもは潰れてしまう。体力を維持するためには、たっぷり睡眠を取ることの方が先決だ。

いきなり「問題傾向」が変わることはない

ところが、いくらそう伝えても、やらせたがるのが親。特に今年は、新型コロナウイルスの影響で、例年とは違う不安がある。親達が抱える不安は、主に次の2つだ。

【親の不安①】入試が大きく変わるのではないかという不安

近年、中学受験では思考力・記述力・表現力などが重視されつつある。もともと難関校ではこれらの力を求める入試問題を作っているが、最近は中堅校でもその傾向が出始めている。ただし、これらの力を入試問題に反映させるのは並大抵のことではない。大きな流れとしては正しいけれど、今年すぐに変わるということはないだろう。

そもそも私立学校には、各校に教育理念があり、どういう生徒を入れたいかが明確だ。それがコロコロ変わってはいけない。入試には学校のメッセージが込められている。それが、入試問題は学校の顔だと言われる所以である。どんな困難にぶつかっても、自分の力でなんとか進んでいける人に来てほしいと思えば、入試にもそれを反映させ、試行錯誤する力が求められる問題を出す。つまり、新型コロナウイルスの影響で問題傾向や難度が極端に変わることはまずない。対策としては過去の入試問題をしっかり取り組み、その学校の問題傾向を把握することだ。