リモートワークをしていると、終業よりも前に子供が帰宅する。子供の勉強の面倒を見ながら親が仕事をすることはできるのか。プロ家庭教師集団名門指導会代表の西村則康氏は「仕事に集中しなければならない時は、子供に簡単な問題を渡すといい。じっくり考える勉強は一人では続かないからだ」という——。
自宅で勉強している女の子
写真=iStock.com/Hakase_
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リモートワーク中、15時には子供が帰ってくる

緊急事態宣言が解除され、子供たちが学校へ通うようになっても、親はリモートワークで家にいるという家庭も多いだろう。会社に出勤していればその間は仕事に集中できるけど、リモートワークだと15時過ぎには子供が帰って来てしまう。すると途端に家の中が戦場になる。

塾があるのに、まだ宿題が終わっていない。
帰って来るなりゲームを始める。
テレビを見ながらダラダラと宿題をやっている。

など、これまで見えなかったことが丸見えになり、「なんで宿題が終わっていないの⁉」「いつまでゲームをしているの?」「ダラダラ勉強していないの!」と怒りを爆発せずにはいられなくなる。

また、きちんと勉強に向かっていても、「どうしてこんな問題がさっさと解けないの?」「もっとたくさん勉強しないと、合格できないよ」と小言を言いたくなってしまう。どちらにしても親子が一緒にいることでマイナスになってしまうのだ。

子供の勉強を見てあげたいけれど、自分も仕事をしなければならない。リモートワークでこのジレンマに陥っている親は少なくない。なかには日中は子供の世話を中心にし、深夜に仕事をする人もいるが、それは親の負担が大きすぎる。であれば、親も子もストレスなく過ごせる環境を整えるほうがいい。ただ、子供の年齢や性格によって、その対策は変わってくる。

仕事に集中したいときは「ちょっとがんばれば何とかできる質量」を渡して離れる

例えば比較的おとなしい性格で、自分で勉強ができる子なら、親と同じテーブルで勉強をやらせてもいいだろう。そういう子は親が隣で仕事をしていても、自分がやるべきことを淡々とやることができるからだ。でも、そういう子はごくわずか。ほとんどの子は親に言われないと勉強を始められないし、親の目がないとすぐにさぼってしまう。

だが、親も今どうしても仕事をしなければならないという状況がある。そんなときは、わが子から離れることだ。その際、何かをやっておくように指示を出しておくといいだろう。ただし、こういうときは子どもが「ちょっとがんばれば何とかできそう」と思える質量の学習を渡しておく。例えば計算問題10問を10分ずつ3枚やらせれば、30分確保できる。その間に親は仕事に集中できる。

ところが、難しい問題や考える問題を与えてしまうと、「わからなーい!」と親のそばに寄ってくるか、やるのを止めてしまう。子供が無理なくできるものをやらせるのがポイントだ。

じっくり考える勉強は、親の目や気配を感じ取れる安心した状態でないと、集中力の続かない子供が多い。そういう子供は、親がそばにいる場所でやらせたほうがうまくいく。

計算問題のようなスピーディーな学習とじっくり考えるスローな学習をうまく使い分けると、親子に無理は生じない。むしろ、勉強には2種類のタイプがあることを実感しやすくなる。実はこれはとても大切なことで、頭の使い方を変えることは、入試の時間配分にも大きく影響を与える。