塾や学校での「オンライン授業」は、対面授業に比べてどんな注意が必要なのか。プロ家庭教師集団名門指導会代表の西村則康氏は「私はオンラインで授業を行うときは、カメラを2台設置してもらっている。教師にとって大切なのは『表情』だけではない」という——。
自宅のノートパソコンで先生とのオンライン授業をハイアングルで撮影
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「オンライン家庭教師」という選択肢が現れた

新型コロナウイルスは、子どもたちの学習環境を大きく変えた。今年、教育界で最も注目されたものといえば、オンラインによる授業だ。私も緊急事態宣言中はオンラインで授業を行っていた。その後も2割程度は、オンラインとしている。

今は学校も塾も多くが対面授業に戻っているが、オンライン授業の良さを知り、そのまま継続をする家庭も少なくない。特に最近は、感染の不安がなく、自宅で気軽に学習指導をしてもらえるオンライン家庭教師が注目を集めている。

オンライン授業のメリットは、子どもの時間に合わせて行えることだ。今の時代、中学受験をするとなると、それを専門に教える大手進学塾に通うのが一般的。しかし、塾に通うと拘束時間が長く、子どもの自由が利かなくなる。そんな状態を良しとせず、「中学受験をしない選択」をしてきた家庭もあるだろう。

また、習い事など子どもの好きなことをやらせたいと思っている家庭にとっても塾との両立は難しい。難関校を狙うのであれば、ある時期はやりたいことを我慢して、受験勉強に集中した方がいいだろう。だが、そうではなく、小学生時代は子どものやりたいことをとことんやらせ、「中学受験は無理のない範囲で」と考える家庭もある。そういう家庭にとってオンライン家庭教師は、子どもの予定に合わせることができるので使い勝手がいい。

大手塾が混乱した「オンライン授業」

一方で、これまで大手進学塾に通わせていたけれど、コロナを機にオンライン家庭教師に切り替えた家庭も出てきている。4~5月の緊急事態宣言発令中、大手進学塾をはじめとするすべての塾が対面での授業ができなくなり、オンライン授業に切り替わった。しかし、これまでオンライン授業をやったことがない塾が大半で、現場はかなり混乱した。

ようやく動画配信による授業が始まったと思ったら、その中身はいまひとつ。急きょ作成した授業は、学力別にクラスが細分化されている普段とは異なり、統一された授業で、上位クラスにとっては物足りない、下位クラスにとってはフォロー不足の内容になった。100人規模で授業をしていた塾もある。