子供の学習計画はどのように立てればいいのか。プロ家庭教師集団「名門指導会」代表の西村則康さんは「最近は『PDCAサイクル』を回そうとする人がいる。特に父親に多い。だが、会社と同じやり方では子供のやる気がなくなってしまう」と指摘する――。
レトロなオタク子供のお父さんに聞いていません。
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「お父さんの参加」で失敗するパターン

「なんで決められたことがちゃんとできないんだ!」

中学受験専門の家庭教師になって35年。ここ数年、よく耳にするようになった言葉だ。

中学受験といえば、かつてはお母さんと子供の二人三脚というイメージがあった。ところが、最近は中学受験に熱心なお父さんが増えている。子供の受験に関心を持つのはとてもよいことだと思う。しかし、残念なことにお父さんが介入することでうまくいかなくなるケースも多い。特に冒頭のような言葉を発するお父さんがいる家庭は、要注意だ。

こういうお父さんの共通点は、PDCAサイクルにこだわっていることだ。PDCAサイクルとは、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)を繰り返すことによって、仕事を改善・効率化する手法のこと。実社会で働くお父さんたちには、おなじみの言葉だ。改善・効率化に有効な手法となると、どんなことにも使えそうに感じる。そこで、子供の受験勉強に取り入れようとする。しかし、それをやってしまうと、大抵の子供はやる気を奪われる。

「PDCA風」になっているのが問題だ

誤解しないでいただきたいが、私はPDCAを否定しているわけではない。正しい意味を理解しないで、「PDCA風」にやろうとすることに問題があるのだ。

まず、明らかにお父さんが作るプランは詰め込み過ぎている。「P」(Plan)から、すでに間違えている。エクセルに打ち込んだ1日の予定表には、「計算ドリル20分」「休憩5分」「算数の復習60分」「休憩5分」といったように5分刻みで細かく指示を出す。いつも子供のそばにいる人なら、「そんなのはムリだ」と肌感覚で分かる。子供は勉強を始める前にボーッとする時間が必要だし、子供の集中力は大して持たないことも知っているからだ。

でも、お父さんは一度決めた予定は、何がなんでもやらなければいけないと思い込んでいる。仕事ではそれが絶対だからだ。そして、できない子供に檄を飛ばす。