「1日3回」入試をする学校が出てきた

ただし、今年に限っては、入試日程の変動は免れないだろう。感染リスクとなる密状態を防ぐために、入試日を分散させたり、入試時間を短くしたりする動きが出てきている。まだ、各校の発表は出ていないが、一足先に都内の人気中堅校である東京農業大学第一高等学校中等部の入試概要が発表された。それによると、1日の入試を3回に分ける分散入試を実施することに加え、試験科目も「4教科もしくは2教科の選択制」から、「2教科の選択制」に変更するという。

入試問題自体が大きく変わることはなくても、入試日が変動するので、いつどこを受験するかという戦略は必要になる。受験校を増やす必要はないが、余裕を持って偏差値幅を広く持っておくことをすすめる。

成績が下がる不安、上がらない不安

【親の不安②】子どもの成績についての不安

コロナの影響に限らず、いつの年でも子どもの成績を親は不安に感じるものだ。ただ、子どもの成績によって、不安の質は変わってくる。

上位層の親の不安は、「今は順調だけど、少しでも手を抜いたら成績が下がってしまうのではないか」というものだ。「○○くんが7月に学校を休んでいたよ」と聞けば、「○○くんは小学校を休んで、勉強をしていたのね。うちの子は学校を休まなかったので、その分、受験勉強が後れを取っているかもしれない」と、他の子と比べては焦り、たくさんの量の勉強をやらせようとする。しかし、ただでさえ今年の夏はハードなので、量を増やすことは百害あって一利なしだ。

一方、下位層の親は、「このままでは成績が上がらないのでは……」という悩みを抱えている。しかし、現時点で成績が伸び悩んでいる子でも、きちんと問題文を読む練習をすれば、大抵の子は成績が上がる。成績低迷の原因の多くは、「早く解かなければ!」と焦って、問題文をよく読まずに答えを出そうとする「アタフタ勉強」になっていることが考えられる。そうならないためには、やはりやるべきことを取捨選択し、得点力を上げることを意識し、勉強のやり方を変えていくことだ。

つまり、どちらにとっても、勉強量の多さが足を引っ張ることになることを知っておいてほしい。