千葉の公立小中学校調査「9割近くの児童・生徒が再学習の必要あり」
では、実際、休校中の子供たちの学力はどうだったのか。2020年7月25日のNHKの「首都圏ニュース」は次のように報じていた。
「千葉県教育委員会が県内の公立の小中学校に臨時休校に伴う家庭学習について調査したところ、『学力が定着しなかった』とした学校が全体の8割を超えたことがわかり、教育委員会は再度休校にせざるをえなくなった場合に備えオンライン授業の態勢作りを図る方針です」
千葉県では休校期間中、ほぼ全ての学校で教科書に沿ったプリントを課題として出していたようである。さらに「授業で再度、学習し直す内容がある」と答えた学校は小学6年生、中学3年生で87%、それ以外の学年でも86%に上り、家庭学習の効果は十分でなかったと考えている学校が多いことがわかったという。
「空白」期間は子供の学力の致命傷「落ちこぼれ」量産の責任は誰が
9割近くの児童・生徒が再学習の必要がある——そんな事実を学校現場はどう受け止めているのだろうか。数カ月の休校期間中に行われたプリント演習で子供に学力をつけられなかったとなれば、その期間の学習については実質的に空白期間となる。
「空白」は子供の学力にとって致命傷となる。高校受験や大学受験での悪影響が懸念される。夏休みの短縮化などで再学習の機会を設けようとする動きもあるが、数カ月分の空白を埋めるのは大変だろう。
単元内容をきちんと子供たちに身につけさせるという実質主義ではなく、「年度内のカリキュラム消化ありき」を暗黙の前提とした文科省の「履修主義の弊害」のしわ寄せは結局、子供に向かう。今後、新型コロナによる2度目の休校となった場合、再び同じプリント学習に戻り、「空白」がさらに増えないとも限らない。
それは最悪の場合、休校によってつくられた人為的な「落ちこぼれ」を大量に生み出してしまうことになる。