米中対立に巻き込まれる第三国企業
8月13日、米政府は国防権限法(NDAA)を施行、中国企業排除を一段と強化し、米中対立が激しさを増しています。対象となる中国企業は、通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)、監視カメラの杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)と浙江大華技術(ダーファ・テクノロジー)、特定用途無線大手の海能達通信(ハイテラ)の5社です。
米国政府は2018年成立のNDAAに基づき、昨年8月から政府機関による対象5社製品の使用を禁止。今回の第2弾では、政府が対象5社製品を直接調達する場合に限らず、対象5社の製品を使う企業からの調達も禁じる内容へ拡大。すなわち、米政府と取引がある企業は、ベンダーから中国IT企業を排除することを求められたことになります。
この規制強化によって、米政府と中国企業のどちらの取引を継続するかの選択に、第三国企業も巻き込まれた状況です。米国政府と直接取引がある企業は、対象5社の製品が社内で使われていないかを調査、不使用の旨を宣誓する必要があります。直接的に取引がなくとも、取引先から対象5社製品が使用されていないか問合せを受けた場合、取引継続の観点から代替品へ変えることが求められる可能性もあります。サプライチェーンの見直しを直ちに行えないなど対応が難しい場合、特例として22年までの適用除外が認められています。しかしながら、対象5社製品をどの程度使用していれば当規制の対象になるのか、特例が容認される条件など、現状は曖昧な部分も多く、日本企業としても警戒を怠らない姿勢が必要です。