「日本はアジアのリーダー」という幻想

2020年8月、あの惨劇から75年の節目を迎えた。日本は戦後一貫して「平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」と前文に掲げる憲法を守り、他国との摩擦・衝突を回避することに専念してきた。この間の発展で「日本は豊かで強い国」「アジアのリーダー」とプライドを抱いてきた国民は多い。だが、そろそろ「幻想」から脱却する時を迎えているのかもしれない。

尖閣諸島を取り巻く状況
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残念ながら今や米国と激しくしのぎを削る中国はしたたかに、時に敵意をむき出しに軍事的覇権主義を突っ走っているのである。そう、「眠れる獅子」と言われたのは昔の話。むしろ、眠っているのは平和ボケした日本だけという惨状だ。新冷戦時代を迎え、米国を中心とする対中包囲網の動きが加速する中、わが国の為政者からはこの国を守る「覚悟」を感じることができない。