中国「日本はアジアの小国」

沖縄県の尖閣諸島周辺で中国当局の船は100日超連続して確認され、2012年9月の尖閣諸島国有化以降で最長となった。8月17日には中国海警局の船4隻が日本の領海に侵入。今年16回目の領海侵入である。中国外務省は「(尖閣諸島は)中国国有の領土だ」「海警局の巡航は中国固有の権利である」と繰り返し、「われわれこそが尖閣の施政権を握っている」と既成事実化しようとしている。中国の「サラミスライス」戦略である。

河野太郎防衛相は8月18日、駐日中国大使を呼び出して「日本周辺の海空域や南シナ海での中国側の動向に強い懸念がある」と自制を求めたが、彼らが「アジアの小国」とみなす日本の警告を受け入れる時代ではない。2020年版防衛白書で「力を背景とした一方的な現状変更の試みを執拗に継続している」と中国への警戒感を強めたのだから、そろそろ「遺憾砲」や「懸念砲」を繰り返しているだけでは意味がないことを安倍晋三政権は気づくべきだろう。

国家のリーダーたるトランプ大統領

頼りにならない日本政府に比べて、中国に対抗しているのは米国である。激しい貿易戦争を繰り広げるドナルド・トランプ大統領は香港民主化への弾圧に制裁を科す法律や、香港への優遇措置を撤廃する大統領令に署名。ウイグル族などへの人権侵害に加担したとされる中国企業への輸出を禁止する制裁措置も発表し、米テキサス州ヒューストンにある中国の総領事館を閉鎖させた。

8月14日にはトランプ大統領が「米国の安全保障を脅かす行動をとる可能性があると確信させる証拠がある」として、中国の北京字節跳動科技(バイトダンス)に動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の米国事業を90日以内に売却するよう命令。米商務省も17日に中国の通信機器大手「華為技術(ファーウェイ)」への追加制裁を発表し、米国の技術で開発・製造した半導体を同社に供給することを禁止した。米国は経済・安全保障の両面から欧州やアジアの国々に中国包囲網への参加を呼び掛け、中国による現状変更を許さないとの圧力をかけ続けている。それは、国家のリーダーとしてあるべき姿を教えてくれているようだ。