「外交の安倍」は名前負け

それに対して「外交の安倍」はどうだろう。何かあるたびに「遺憾砲」は繰り出すものの、予定していた習近平国家主席の国賓来日に配慮して、新型コロナウイルスの「震源地」である中国からの入国制限は遅れに遅れ、感染再拡大期に何を思ったのか在留資格を持つ外国人の再入国や中国からの往来再開に向けた協議に入る始末。中国・武漢のナイトプールで反省や謝罪の弁もないまま大規模パーティーが開催されている現状をどう見ているのか。

あれだけ勇ましく国内では吠える安倍総理は中韓両国への配慮から2013年12月を最後に東京・九段北の靖国神社参拝もしていない。閣僚になっても自民党政調会長になっても参拝を続ける高市早苗総務相を見習うべきだろう。これだけ指摘すると「いや麹町さん、これには緻密な安倍政権の戦略があって……」などと優秀な政府関係者からの“説明”が展開されるが、そんな意味不明な戦略が国際社会で通用するわけがない。安倍政権は中国にどれだけビビっているというのか。

米論文「中国が沖縄を爆撃、尖閣奪取する」

今、1つのリポートが注目を浴びている。それは5月19日に米シンクタンク「CSBA」が発表した「Dragon Against the Sun: Chinese Views of Japanese Seapower」だ。執筆した上席研究員のトシ・ヨシハラ氏は、中国海軍は艦隊の規模や火力等の戦力で海上自衛隊を追い抜き、それは次の危機における抑止の失敗の確率を高める可能性があると指摘している。そのうえで、日本と中国の海軍力の不均衡は日米同盟を緊張させ、アジアが不安定化するとして、日米両国は迅速にバランスを取り戻さなければならないと警鐘を鳴らしている。

と、ここまではちまたに溢れる論文とさほど変わらない。衝撃はここからだ。その恐ろしいシナリオは、①海上保安庁が尖閣諸島周辺に侵入する中国公船を銃撃し、中国が報復攻撃、②中国の空母が宮古海峡を通過、③東シナ海上空を警戒した日本の早期警戒機と戦闘機を中国軍が撃墜、④中国が巡航ミサイルで沖縄・那覇空港を攻撃、⑤米国が日米安全保障条約に基づく協力要請を拒否、⑥宮古海峡の西側で致命的な軍事衝突が発生、⑦4日以内に中国が尖閣諸島を奪取——という中身になっている。