「国会で惨めな姿をさらすことは避けてあげたい」という思いか
野党が臨時国会の召集を求めていることに関連し「野党は何のために国会を開くのかというと、総理を引っ張りだしてくることだけ。そうであれば意味はない」と答えている。体調を崩した安倍氏が13年前のように、国会で惨めな姿をさらすことは避けてあげたいと考えたというのは、深読みだろうか。
もし、甘利氏ら党幹部が安倍氏に忖度して国会の出席を回避しようと考えていると仮定すると、かたくななまでに野党の国会召集要求に応じない現在の対応もうなずける。
騒ぎが広がる中、麻生氏は「147日間休まず働いたら、普通だったら体調はおかしくなる」と語り「過労説」を強調。一方、14日に安倍氏と面会している稲田朋美自民党幹事長代行は「潰瘍性大腸炎という持病を持っている。病気はやっかいな病気だが、命に別条はないし治療すればますます活躍される。しっかり検査してほしい」と、持病が悪化しているとの見方を示す。また、持病とは別の病気が原因だとの見方もある。
これで「安倍4選」は限りなくゼロに近づいた
当分の間は、憶測は広がる一方だろうが、問題は、安倍氏が今後も政権を運営していく体力と意欲が残っているかどうかだ。
今秋には自民党役員人事、内閣改造が予定されている。来年の9月末には安倍氏の総裁任期が来る。そして衆院任期満了の10月までには必ず衆院選が行われる。来夏には東京都議選、そして東京五輪・パラリンピックも予定されている。
一連の重要日程をどう乗り切るか。そのシナリオを描くためには「首相の体調」は最重要問題であり、最大の機密でもある。ただ、ひとつだけはっきりしてきたことがある。自民党内などに根強くあった「党則を改正して安倍首相が自民党総裁の連続4選を果たす」という可能性は限りなくゼロに近づいてきたということだろう。