政治家の「記録」優先で政治日程が組み立てられている
永田町で「最長記録」を意識したうごめきが活発化している。8月から9月にかけて安倍晋三首相、二階俊博自民党幹事長、森山裕国対委員長が、それぞれ「最長記録」に達しようとしている。しかも、その記録を意識しながら政治日程が議論されている。
国民がコロナ対応への専念を熱望する中、政治家の「記録」優先で政治日程が組み立てられるとしたら、本末転倒ではないか。
達成されそうな「記録」を確認しておきたい。
安倍晋三首相の通算首相在任は、すでに明治・大正期の桂太郎氏を超えて歴代1位になっており、記録を日々更新している。今度は「連続在任日数」の記録がかかる。8月24日に、第2次安倍政権が発足してからの連続在任日数が2799日となり、大叔父の佐藤栄作を抜く。
二階氏は9月8日に幹事長在任日数が、1498日となり、田中角栄元首相を抜いてトップに立つ。国会運営の調整役として二階氏を支える森山氏は、一足早く9月3日に連続在職日数が1128日となり、中川秀直氏を抜くことになる。
3人が「最長」なとるのは、ひとえに安倍政権が安定的に運営されてきた証左ではある。安倍氏の場合、尊敬する祖父・岸信介元首相の弟でもある佐藤氏を超えるのは悲願でもある。だが、これらの「個人記録」が政治日程の中で重視されすぎていることは問題だ。
今、永田町は、党役員人事と内閣改造の話でもちきりだ。衆院当選5、6回の入閣待望組は、今か今かと「その日」を待っている。
一連の人事は8月末から9月の初旬に行われると言われてきた。安倍氏は「佐藤超え」して初の人事を断行することになる。だが、ここに来て「9月中旬以降説」が出ている。二階氏が「田中超え」を達成してから人事を行うということだ。