日本と韓国との間で延々続く、うんざりするような歴史論争。しかし漢字が読めなくても、歴史の検証は可能なのだろうか?
「日本と戦って独立を勝ち取った」説
慰安婦問題、元徴用工問題等々、歴史問題は日本と韓国との間の消えない火種であり続けている。韓国・文在寅大統領は8月15日、75回目の光復節の記念式典では日本に対する直接の批判は避けた模様だが、3年前の2017年には、「韓国の建国は1945年ではなく1919年」「日本と戦って独立を勝ち取った」という奇天烈な説を展開している。
こうした韓国の奇妙なロジックを、かつては強引に正当化する左派の言説が日本国内ではびこった。一般市民も突っ込みを入れられるネット上では、さすがに昔ほど幅を利かせることはなくなってきている。日本に非がまったくないとは言い難いが、韓国側の根深い歴史的被害者意識と捻じれたナショナリズムは、両国を離間させたい勢力の介入と相まって、しばしば日韓関係を歪めてきた。
各国の歴史の教科書を比べてみても、それが際立つ。すでに知られている例でいえば、2011年、スタンフォード大学アジア太平洋研究センターが行った日本、韓国、中国、台湾、米国の高校の自国史・世界史の教科書を比較した研究「History Textbooks and the Wars in Asia」では、まず日本のそれについてはアジアや米国メディアが持つ“愛国的で問題がある”とのイメージとは裏腹に、「道徳的な判断を避け、事実重視で愛国的傾向があまりない、無味乾燥」とする半面、韓国のそれについては「民族の誇りを強調することが奇妙な歪みを生む顕著な例」とされ、「戦時中の叙述がもっぱら日本の植民地統治下の人々の過酷な体験と抵抗運動」であり、日中戦争勃発や真珠湾攻撃にすら触れていないし、「主要な教科書に広島・長崎の原爆投下の記述もない」としている。