労働市場が悪化しても都合よい発言ばかりの韓国政府
韓国、文在寅(ムン・ジェイン)大統領をはじめ閣僚の発言を見ていると、経済統計などを政権に都合よく主観的に解釈することが多いようだ。
例えば、8月12日に洪楠基(ホン・ナムギ)経済副首相兼企画財政相が、どうみても韓国の労働市場は悪化しているように見えるにもかかわらず、「5月から雇用状況は毎月着実に改善している」と述べた。
その発言には、韓国国内のメディアからも批判が出ている。見ればすぐにわかる事象について、現役の閣僚がそうした発言をする理由はよくわからない。
就業者の減少幅が縮小したという変化はあるものの、今年3月から7月まで5カ月続けて韓国の就業者は減少した。7月の就業者数は27万7000人減だ。「労働市場は厳しい状況になりつつある」というのが事実に基づいた理解だろう。
なぜ、韓国政府の高官は、経済運営や不動産価格の高騰問題に関して自らに都合よい発言を繰り返すのだろうか。そうした例を見ていると、戦時中の大本営発表と同じなのだろうと考えてしまう。
一方、サムスン電子を筆頭に韓国企業は健闘している。当初、財閥企業を批判した文氏はその状況を自画自賛しているが、それは必ずしも文氏の成果ではない。今後、韓国経済が落ち着きを取り戻し、雇用を創出するために、サムスン電子をはじめとする財閥企業の重要性は一段と高まるだろう。
自国内外の経済環境を虚心坦懐に理解し、必要な政策を立案・施行することができるか否か、文大統領の姿勢が問われることになるはずだ。