文在寅の発言は矛盾している

文大統領には自国内外の環境の変化を冷静に確認し理解するよりも、都合よく発言する傾向があるようだ。ある意味では、自分に甘いと言える。それは、財閥企業に関する政策をはじめ同氏の経済運営姿勢から確認できる。

大統領に就任した当初、文氏はサムスン電子など財閥企業の改革を進めると述べた。同氏は経済を牛耳る財閥企業の利権にメスを入れて公平な競争環境を整備すると自らの政策の意義を説いた。

2018年に入ると、韓国にとって最大の輸出先である中国経済の成長が限界を迎えはじめた。その上に米中の通商摩擦が激化し、韓国の輸出は大幅に減少した。サムスン電子などは“中国製造2025”を推進し半導体需要が高まっていた中国市場での競争力を高め、不安定ながらも収益を獲得した。それが韓国経済を支えた。

その状況下、文氏は財閥企業の生産施設を訪問するなど、当初と異なり財閥寄りの姿勢を取り始めた。一方、文氏は経済成長率以上のペースで最低賃金を引き上げた。結果として、中小企業を中心に雇用が削減された。

その事実はサムスン電子などの財閥企業の収益が経済を支える一方、文政権は経済の実力を低下させたと言い換えられる。

「韓国が最も善戦している」という解釈

しかし、7月下旬、文氏は「韓国経済が奇跡的に持ちこたえた」と発言し、自らの政策を自画自賛した。4~6月期の企業業績を見ると、世界的に見てもサムスン電子やSKハイニックスの半導体事業や造船業界は好調だ。航空大手はリストラに加えてICチップの輸送などが支えとなり、黒字を確保した。

冷静に考えると、財閥企業は景気後退に陥った韓国経済にとって重要な下支えの役割を果たしている。それは文氏の功績によるものではなく、サムスン電子などの自助努力に支えられている。

客観的に韓国経済の状況を説明すると、大手財閥企業の努力によって半導体産業などが収益を確保し、マクロ経済を下支えしたというべきだ。それでも、文氏は「国際社会の中で韓国が最も善戦していると評価されている」と述べるなど、情報やデータの一端を都合よく解釈し成果を主張している。