1965年の韓国政府に対する経済協力金の行方

韓国では、徴用工訴訟で韓国最高裁から賠償を命じられた日本企業の資産売却に向けた手続きが進み、現金化手続きが8月4日以降、可能となっています。これにより、韓国の裁判所が差し押さえた新日鐵住金(現日本製鉄)資産を強制的に売却する可能性があります。これに対して、日本政府は対抗措置の検討を本格化させており、外務省幹部は「資産現金化は日韓関係を決定的に終わらせる事態になる」と述べています。徴用工訴訟の対象となっている日本企業は70社超で、日本製鉄の資産が現金化されれば、日本企業の韓国離れは避けられないでしょう。

亀裂の入った壁に描かれた日章旗と、韓国の国旗
写真=iStock.com/Dilok Klaisataporn
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日本政府は、1965年の日韓国交正常化の際に結ばれた日韓請求権協定で問題は解決済みとの立場です。なぜなら、請求権協定で日本は有償・無償合わせて5億ドル(現在の価値で7500億円)という巨額な経済協力金を韓国政府に支払っているからです。

巨額な資金を支払ったにもかかわらず、なぜ、訴訟が起きたのでしょうか?

WBSが番組内で、5億ドルの使い道について行方を追っています。WBSは44年前に韓国政府が発行した『請求權資金白書』を入手し、その中身について報道しています。5億ドルは「農業や水産業、さらに原子力研究などの科学技術に至るまで日本の資金は様々な分野に使われたこと」や「ソウル市内を流れる漢江にかかる全長およそ1kmの漢江鉄橋の建設に、89万ドルが投じられた」こと、他にも「ソウルと第二の都市である、釜山を結ぶ京釜高速道路の建設にはおよそ690万ドルが注ぎ込まれていた」ことを報道で明かしています。