武漢発ウイルスG型の毒性を強めるS型、弱めるK型

ちなみに、武漢発のG型は上海で変異した後にまずイタリアから上陸し欧州・米国に広がって猛威を振るったが、欧米いずれの地でも昨年10月以降、まだ渡航制限がなかった頃にS型が流入・蔓延していた。このS型、実はK型とは逆にG型の致死率を上げるほうに作用する。それに加えて、欧米は日本より1カ月早い2月上旬にはすでに中国人の渡航を禁じていたため、K型が国内に入ってこなかった。G型の新型コロナウイルスの感染が拡大した欧州・米国で重症化率・死亡率が高い原因はこの2つだという。

もっとも、疑問点はいくつか残されている。集団免疫で日本人の体に生成されているはずの抗体がなかなか検出されないこと、抗体が生成されたとしても、それが数カ月で減退するかもしれないこと、等々。他のファクターX候補と同様に精査の余地はあるようだ。

「ファクターXが存在する」前提で動け

他にもBCGの予防接種寄与説や、国際医療福祉大学の高橋泰教授が唱える「感染7段階モデル」など、ファクターXの有力候補はいくつか存在する。1つしかないとは限らないし、あるいはまだ表に出ていない別の要素かもしれない。それが何なのかを確定する作業が急がれることは言うまでもないが、無責任の誹りを承知で言うと、ファクターXが不確定なものであれ、今はそれが「存在する」という前提で国や企業を運営しなければ、日本経済は本当に死に至ってしまうのではないか。

繰り返すようだが、人とモノとカネの循環をぶち壊すのは簡単でも、それを元に戻すのにどれだけの代償を支払わねばならないかは、かつてのバブル経済後に痛切な経験を積んでいるはずである。

今は、選挙民の不安を鎮め、支持率が下がろうが「親兄弟が死んでもいいのか」などと怒号を浴びようが、自粛要請という無責任な手段に訴えず、忍の一字で経済活動を継続させるのが、今の政治の役割ではないだろうか。またこの期に及んで、重症患者・死亡者の数をアリバイ程度にしか報じず、感染者数の増加ばかり喧伝するマスメディアのニュースにどれだけの価値があるのか、視聴者は落ち着いて考えたほうがいいかもしれない。

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