GDP、失業率等々、ロックダウンや緊急事態宣言下の経済の惨憺たる状況が分かってきた。でも、それなのに……。
今年4月、緊急事態宣言下の閑散とした東京・歌舞伎町。
写真=アフロ
今年4月、緊急事態宣言下の閑散とした東京・歌舞伎町。

雇用の悪化は遅れてやってくる

新型コロナ感染拡大による解雇が、7月の1カ月だけで約1万人増えて計4万人超(厚生労働省調査)。4月の緊急事態宣言下で仕事を休んだ人は597万人で、うち約1割が退職、あるいは職探しをあきらめた(総務省統計局・労働力調査)……等々、新型コロナ感染拡大と緊急事態宣言が社会に何をもたらしたのかが、ようやく数字で判明し始めた。

こうした極めて厳しい労働環境は、今後さらに悪化する公算が高い。今年6月の有効求人倍率は1.11倍と2014年10月以来の低水準だが、雇用調整は遅れてやってくるのが常。2008年9月のリーマンショック後、有効求人倍率が最悪の水準にまで低下したのはちょうど1年後(2008年8月0.86倍→2009年8月0.42倍、労働政策研究・研修機構調べ)だった。

SNS上の一部では、地方のベンチャー企業が出した4職種若干名の求人に計350人超の応募が殺到。大量の失業者の出現に、経営者が「半年前の売り手市場に四苦八苦していたのが嘘のようだ」「恐怖にも似た感情を持った」と本音を吐いているのが話題となった。