ザボンにゴルゴがいる理由

はじめまして。今回より連載をはじめることになりました「東京・銀座・クラブザボン」の水口素子です。ザボンを開いてから42年、文壇バー「眉」でのホステスデビューからは48年が経ちました。

ザボンは1978年に開店。名付け親は小説家の丸谷才一。カウンターのみ3坪の店から始まり、2年で、13坪の店へ。さらに3年で、現在の20坪に。店には文壇の大御所や編集者たちが集う。
ザボンは1978年に開店。名付け親は小説家の丸谷才一。カウンターのみ3坪の店から始まり、2年で、13坪の店へ。さらに3年で、現在の20坪に。店には文壇の大御所や編集者たちが集う。

銀座のママというと「一流の男の見分け方」など、啓発的なお話をするイメージがありますが、古い人間の私では力不足です。以前、「プレジデント」で、昔の不倫のことを書きましたら、お客様たちに大笑いされました。しかし私の仕事は、自分を大きく見せることではなく、お客様を楽しませることですからそれでいいのです。

さて、ザボンの店内には、「ゴルゴ13」の画が5枚も飾られています。「なぜ銀座にゴルゴが?」とみなさん驚かれますので、まずはそのお話をしようと思います。

先日執筆した記事「プレジデント」の中でも「ゴルゴ13」のことを取り上げましたが、そこで私、さいとう・たかを先生の「劇画」のことを「漫画」と書いてしまいました。劇画というものは描線がより写実的で、ストーリーも現実性を高めたもの。でも先生、私たちの仲に免じてどうか許してくださいね(笑)。