なぜ韓国は「アメをあげても足元を見られるだけ」が分からないのか

さて新聞の社説はどう見ているか。6月18日付の産経新聞の社説(主張)は、「連絡事務所爆破 北朝鮮にアメを与えるな」との見出しを立てて強く批判する。

「脱北者団体による金正恩朝鮮労働党委員長への批判ビラ散布を許した韓国への報復というが、あまりに短絡的で過激な反応だ。韓国への敵対姿勢は自らの焦燥感の裏返しではないのか」

「自らの焦燥感の裏返し」。確かに金正恩委員長は焦って苛立っている。その焦りと苛立ちが何に由来するものなのかを突き止めることが重要なのである。己の寿命を悟ったうえでの行動なのかもしれない。

産経社説は訴える。

「北朝鮮は、板門店宣言にある韓国の経済協力が実施されていないことに不満を表明している。国連制裁下では不可能な協力を約束した文在寅大統領は、まず前のめりの対北外交を反省すべきだ」
「ただ、それ以上に重要なのは危険な行為に譲歩などのアメを与えないことである。文氏は特使派遣を目指したが拒否された。対話の呼びかけは通用しない。融和路線と決別し、毅然とした態度でこの局面に向き合ってもらいたい」

韓国に北朝鮮外交を反省してもらうのは当然だ。アメリカと北朝鮮の間に入って米朝首脳会談を実現したとはいえ、文政権は北朝鮮に軽くあしらわれている。日本から見ていても情けなく感じることが多い。今回の爆破がそのいい例である。特使派遣も暴露され、批判材料に使われた。相手の足元(弱み)を見てくるのが北朝鮮だ。産経社説が主張するようにアメは通じない。

「金与正氏の存在」と「金正恩氏の健康不安説」の関係性

産経社説は指摘する。

「米朝交渉は行き詰まり、正恩氏がパイプを持つトランプ米大統領は選挙を控えている。制裁緩和の展望が開けない。突出した行為は気を引く狙いもあるのだろう」
「日米もまた、アメを与えないことを肝に銘じねばならない。今一度、『最大限の圧力』の原則を確認し、韓国に足並みをそろえるよう求めていく必要がある」

日本とアメリカも「韓国にアメを与えるな」という産経社説には賛成だ。前述したように北朝鮮は少しでも隙を見せると、つけ込んでくる。その意味でやはり問題は韓国なのだ。韓国は反日感情を理性で抑え、日米に協力して北朝鮮の核・ミサイル開発に対処していくべきだ。とくに日本は拉致という切実な問題をなんとしても解決したい。

産経社説は「正恩氏の妹の与正党第1副部長が指導者のごとく振る舞っていることも、正恩氏の健康不安説とあいまって気がかりだ。不測の事態への備えも欠かせない」とも指摘する。「金与正氏の存在」と「金正恩氏の健康不安説」。産経社説は、沙鴎一歩が気にしていることを「不測の事態」と書く。さすが北朝鮮事情に詳しい新聞である。国際社会はこの不測の事態を常に想定しておく必要がある。